共和党大統領候補の税政策

 

巷では来年の大統領選挙に向けて共和党代表戦が激しく繰り広げられていますが、私達納税者の生活を大きく左右するであろう共和党代表候補の税政策を要点を踏まえ簡単に紹介したいと思います。なお今回紹介させて頂くのは、現在支持率上位にあるミット・ロムニー氏、ハーマン・ケイン氏、そしてリック・ペリー氏3候補に限らせていただきます。

ミット・ロムニー氏の税政策

ロムニー氏の税制改正案は、法人最高税率を現行の35%から25%に引き下げ、現税法の簡素化などを提言しています。その他の税政策には、遺産税の廃止、所得が20万ドル未満である納税者に限りキャピタルゲイン・利子・配当収入を非課税にする案なども盛り込まれています。同氏はこの税政策を実行することにより、年間4%の雇用の増加を予測し、大統領任期中に1150万人の新しい雇用を生み出すであろうと謳っています。

ロムニー氏の税制改正案は、他の候補者と比べると少し控えめな政策とも見受けられますが、同氏の側近によると、現時点で控えめな政策しか発表しないのは、選挙を勝つための意図的な戦略だとコメントをしています。ロムニー氏は、他の候補者と世論の動きを見て、次の減税案を発表するタイミングを見計らっているようです。

ハーマン・ケイン氏の税政策

立候補者の間で一番注目を集めているケイン氏の税制改正案は、現行の極めて複雑な税制を廃止し、代わりに個人所得税、法人所得税、消費税を一律9%とする「9-9-9」を推進しています。

現行の最高税率が、個人、法人ともに35%であることを考えるととても大胆な提案といえますが、現行の税法では、納税者の約半分近くが所得控除や税控除の恩恵を得て所得税を全く払っていないという現実があります。ケイン氏は、同氏の税改正案により一部の納税者の負担が増えることを認めつつも、「9-9-9」が起爆剤となり税負担の減った企業が、先行投資や雇用の拡大を図り、経済が回復すると訴えています。しかしながらこの税制改正案は、高所得者の税金を下げ低所得層の税金を上げることになると非難を浴びています。

この他の税制改正案には、社会保険税徴収の廃止、キャピタル・ゲイン優遇税、遺産税の廃止なども含まれています。

リック・ペリー氏の税政策

ペリー氏は現時点で具体的な税政策を発表しておらず、国家歳入に重点を置く他の二候補とは対照的に国家歳出に着目し、現行の歳出を減らしバランスのとれた財政構造改革をするべきだと提言しています。同氏は、膨れ上がった財政赤字を解消するには税金を上げるのではなく現行の歳出を$15 billion減らし、また連邦政府主体の一部の財政政策を州政府に移行することにより達成できると主張しています。

 

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