実際の納税者

 

一向に改善されない経済状況や貧富の格差に業を煮やした群集が、「私達は99%」のスローガンの下金融業界に矛先を向けウオール街包囲デモを繰り広げていますが、実際に誰が何を負担または貢献しているのでしょうか。

納税層(53% 組)

「私達は99%」と言うスローガンはあたかも国家歳入の主な部分を99% の国民が負担しているかのような意味合いを連想させますが、実際に連邦所得税を納めている人達は米国民全体の 53% に過ぎません。現行の税法の下、連邦所得税に関する歳入は53% の国民でまかなわれ、残り47% の負担を強いられているのが実情です。

非納税層(47% 組)

驚かれるかもしれませんが、米国世帯の約半数が連邦所得税を納めていないという事実をご存知でしょうか。Tax Policy Centerの調査によりますと、2010年に米国世帯の約47%(6,900万世帯)が、所得税を納める必要が無く、また一部の世帯はRefundable Credits として逆に政府からお金を受け取る立場にいるようです。

ここで注目して頂きたいのが所得税を納めていない世帯の大多数が低所得層ですが、その内の約500万世帯が年収 $5万ドル以上で、中には$100万ドル以上稼いでいる世帯も含まれています。高所得にもかかわらず税金を納める必要が無い主な理由として、市・州債権から得られる非課税収入、外国税額控除を受けられる外国からの収入、高額寄付による控除など高所得者を優遇する現行の税法が背景に挙げられます。(注:連邦所得税を納めていない、または収める必要の無い世帯も他の税金、例えば地方所得税、給与税、消費税、固定資産税などは他の納税者同様納付している。)

裕福層(1% 組)

それでは一体どれ位の年収を稼げば、1%の仲間入りになれるのでしょうか。IRSの統計によりますと、2009年時点で年収 $343,927ドル以上を稼いだ納税者が1%組にあたり、その数は140万人にも上りました。詳しく数字で見ますとその年の1%組は、一人当たり平均 $960,000 ドルの収入を得、課税所得の約37% を税金として収め、総合計額は国家歳入の約 17% にあたる $1.3兆ドルを稼いだ計算になります。しかし1%の年収基準は毎年証券の業績によって大きく左右されるようで、金融業界が破綻する直前の2007年には年収 $424,000 ドルが1%組として認識される最低ラインでした。

今回は時事と共にいくつかの興味深い統計を紹介させて頂きましたが、他にも面白い税に関する統計がありますので、いくつか紹介したいと思います。

  • 米国税法は約71,700ページ、3.8億の単語からなる。これは聖書の約5倍
  • 1940年から2004年にかけて、税法の長さは約3倍。
  • 税法を正しく理解できず、または知らないがために税金を払いすぎている納税者の数、約2億人
  • 上位400の米国高額所得者の平均所得 $345,000,000 ドル
  • 税前給与$10,000ドルのニューヨーク居住者とダラス居住者の税引後給与の比較(平均):ニューヨーク居住者 $62,000、ダラス居住者 $72,000
  • 法人所得税が世界で最も高いのは、ニューヨーク市

 

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