独身者と既婚者の税金の違い

 

「独身者が一番税金を多く払っている」と皆さんよく聞かれると思いますが、今月は申告身分によってどのくらい納付額が違うのか、実際の数字を使ってご紹介してみたいと思います。

税金が申告身分によって大きく違う最大の理由は、税率や控除額が独身か既婚かで大きく変わるからです。仮に同じ額の収入を得ていたとしても、既婚者には税金の負担を軽減するいろいろな優遇税制が存在します。

例えば2011年の所得がそれぞれ$50,000のテキサス州在住の既婚者Aさん(配偶者の所得はゼロ)と独身者Bさんの場合、夫婦合算申告をしたAさんと独身者として申告したBさんとではどれくらい違うのでしょうか。両者とも標準控除(独身 $5,800、夫婦合算 $11,600)を選択し、特別なその他の控除がないと仮定した場合、A夫妻の2011年税額は$3,800となり、Bさんの税額は$6,250となります。Aさんは結婚していることにより、独身のBさんより$2,450少ない税額ですみました。もちろん家族を養うにはそれなりの費用がかかりますので、Aさんにとってはこれだけの優遇ではたりないかもしれませんね。また2011年度に多くの税金を支払ったBさんは、今年の12月31日までに結婚をすれば、来年は合算申告で$2,450セーブすることができます。

ではA夫妻に子供が二人いた場合、2011年の税金は子供がいない場合と比べてどうでしょうか。子供を持つことによりAさんは、追加で$7,400の所得控除 (一人につき$3,700の人的控除)と、$2,000の税額控除 (17歳未満の子供一人につき$1,000) を得ることができます。結果Aさんの税額は$690となり、子供がいない場合に比べ税金が$3,110低くなります。ちなみに子供の人数は12月31日時点でカウントされますので、子供が2011年12月31日に生まれた場合と、翌年の1月1日に生まれた場合とでは2011年の税金が約$1,500違ってくるという訳です。

話は変わり、先月オバマ大統領が同性婚支持を表明しいろいろ物議を呼んでいますが、実は同性婚問題は税金と密な関係にあります。ご存知の通り州によっては同性婚を認めている所もありますが、連邦レベルでは「1996 Defense of Marriage Act」法により同性婚が認められておりません。連邦レベルで婚姻事実を認められないと言う事は、連邦個人所得税を申告する際、夫婦合算申告が出来ず独身者として所得税を申告するため、通常の既婚者(夫婦合算申告)に認められている税法上の特権を受けることが出来ません。ある調査によりますと、同性婚の納税者は夫婦合算申告が出来ないため、一般の既婚納税者に比べ約$6,000以上も多く税金を納めているそうです。同性婚に対する不利益は税金だけに留まらず遺族年金の不受理、資産売却益の非課税限度額、贈与税額控除や相続税の控除限度額などいろいろな面で同性婚者に重く圧し掛かっています。

同性婚を連邦レベルで認めるという事は、つまり税金の面でも一般の既婚者と同等の権利を認めるという事にも成りかねないので、赤字政府としては簡単に結論を出せないようです。

 

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