2011年度税制の主な改正事項

 

毎年、年末年始にかけて新たな税制改正法が発表されていますが、昨年度末にオバマ政権が調印した個人所得税に関する税制改正法並びに関連事項を簡単にご紹介いたします。

外国金融資産の報告義務(個人)

本年度特に注目すべき改正事項は、「外国口座税務コンプライアンス法」 (Foreign Account Tax Compliance Act)により新たに実施される外国金融資産の報告義務で、一定の外国金融資産を有する納税者は個人所得税申告書に様式8938を添付しその内容を開示することが義務付けられました。対象者となるのは、特定外国金融資産を所有する米国市民と米国居住者となっており、報告対象資産の年間最高合計残高、または年度末合計残高(12月31日時点の残高)の何れかが申告身分別限度額を超える場合に開示・報告義務が発生します。

報告対象となる特定外国金融資産とは、IRSの把握が困難である外国金融機関の預金口座などを指し、外国金融機関の米国支店口座や米国金融機関の海外支店口座は対象外となります。報告を怠った場合には1万ドル(最高5万ドル)の厳しい罰金が課せられ、またその報告対象資産に起因する所得の申告漏れがあった場合には、過少申告税額に対し40%の罰金も同時に課せられます。

留意して頂きたいのが、所得税申告書の一部として開示が義務付けられている外国金融資産報告書 (様式8938)は、財務省に提出する外国銀行口座報告書 (FinCEN 114)と多くの点で報告内容が重複していますが、一方を報告したらかといってもう一方の報告が免除される訳ではありません。また、同法に関する法人の報告義務は2012年度分からとなっており、来年まで繰り延べられています。

申告身分別限度額

 

申告身分

年度末残高

年間最高残高

米国居住者 独身 5万ドル 7万5千ドル
夫婦個別 5万ドル 7万5千ドル
夫婦合算 10万ドル 15万ドル
海外在住の米国市民 独身 20万ドル 30万ドル
夫婦個別 20万ドル 30万ドル
夫婦合算 40万ドル 60万ドル

対象・対象外資産

報告対象資産

報告対象外資産

  • 外国金融機関に有する口座
  • 外国金融商品や契約
  • 外国企業の株式や証券
  • 外国事業体の持分
  • 外国人に対する貸付金や債権
 

  • 外国金融機関の米国支店口座
  • 米国金融機関の海外支店口座
  • 外国政府が提供する社会保険や厚生年金等

代替ミニマム税基礎控除の増額

2011年の代替ミニマム税基礎控除額が、夫婦合算の場合$72,450から$74,450へ、夫婦個別申告の場合$36,225から$37,225、そして独身者の場合$47,450から$48,450へとそれそれぞれ増額されました。実は税金の計算方法には二通りあり、納税者は通常の計算方法で算出された税金もしくは代替ミニマム計算方法で算出された税金のどちらか多い方の金額を支払う仕組みになっています。代替ミニマム税基礎控除額とは、後者の代替ミニマム計算方法で算出された税金の控除額の事を指します。

自動車マイレージ控除の増額

2011年度の事業に使われた自動車のマイレージ控除額が1マイルに付き51セント(2011年7月1日以降は55½セント)、通院などの医療関係に使われた自動車のマイレージ控除額が1マイルに付き19セント(2011年7月1日以降は23½セント)と昨年と比べ増額しています。

給与税の減額

2011年度に被雇用者負担の給与税(Social Security Tax)が6.2%から4.2%へ引き下げられましたが、この低率が2012年2月29日まで延長されることが昨年末に決まりました。なお、2012年通年の低率適用について、現在議会で協議されています(2012年1月現在)。雇用者負担の給与税 (6.2%) およびMedicare Tax (1.45%)に変更はありません。

資本損益

2011年度に株式、動産・不動産などの資産売却から生ずる譲渡損益がある方は、今までの付表D加えて、詳細を様式8949に表示する必要があります。様式8949は、証券会社や銀行などから送られてくる様式1099-Bに載っている情報を基に作成します。

申告日

今年の個人所得税の申告期日は例年より2日遅い4月17日となっています。何らかの理由で申告期日までに間に合わない場合は、延長申請(様式 4868)を提出することにより、6ヶ月の延長が可能です。ただし延長が適用されるのは申告書の提出期限のみで、税金の納付は4月17日までに行う必要がありますのでご留意ください。

 

現在コメントは受け付けていません。