去る10月22日にフロリダで、第3回目の大統領討論会が行われましたが、各候補者とも自分がいかに大統領として適任であるかを各自の政策を説明しながら討論が行われました。外交問題と同じく大きく取り上げられたのが、国内経済および失業対策問題で、特に税政策に関して両候補は真っ向から対立し、全く逆の見解を展開しました。
両者の減税に対する見解
オバマ候補は、景気低迷により厳しい生活を強いられている低所得者へは引続き減税を行い、財政を立て直すためには高所得者に対して設けられた特別優遇措置を廃止して税率を上げるべきだと訴えています。逆にロムニー候補は、高所得者へ減税措置を行う事により、余ったお金が投資資金として市場に出回り、結果的に雇用を生み出し経済活性の原動力となると訴えています。そのため高所得者を含めた全ての納税者に対し、引続き減税措置を行うべきだと主張しています。
ブッシュ大統領が在任時に法律化された特別減税措置(通称ブッシュ減税法)により、高所得者のみならず殆どの納税者が納税を軽減されましたが、対象となった減税措置が一部の課税所得に限られていたため、高所得者は特にその恩恵を受ける事が出来ました。
所得税率
ブッシュ減税法により、累進化税率が変更前の28%、31%、36%から各3% づつ引き下げられましたが、最高税率の39.6% に関しては4.6% の減率となりました。
譲渡益・配当の税率
配当金(投資所得)にかかる税率は、減税措置が行われる以前は勤労所得と同じ税率(最高39.6%)が使われていましたが、施行以降は15% に引き下げられました。また譲渡益の税率も20% から15% に下げられました。
相続税
相続税率は、減税措置前の55%(控除額 $675,000)から段階的に年々引き下げられ、昨年は35%(控除額 $5,000,000)まで下げられました。また2010年に限り特別に相続税が全額免除されました。
項目別控除
ご存知の通り、課税所得を算出する際に標準控除または項目別控除を受ける事が出来ます。通常、所得が高額になればそれに比例し控除額に制限が掛かり、結果的に高所得者も標準控除を取らざるを得ませんでした。しかしブッシュ減税法により、所得額による制限が撤廃され、納税者によってはより多くの額が項目別控除として取れるようになりました。
地方債の税率
通常、貸付金から得られる利子は、他の利子所得と同じく課税の対象となりますが、地方自治体(州・市・学校区等)発行の地方債から得られる利子は、全額非課税扱となっています。
現在施行されている減税措置は全ての納税者に適用されますが、実際に減税の適用を受けるためには、投資をしたり多額の資金を運用する必要があるため、結果的に高所得者がより多く恩恵を受けているのが現状となっています。
話は変わりますが、選挙が行われる度に毎回フロリダが重要選挙区の1つとして取り上げられますが、その理由は、選挙人投票 (Electoral Vote) の有権者538人のうち約5%を占める29人がフロリダに割り当てられているためです。ちなみに最も有権者が割り当てられている州がカリフォルニアの55人で、テキサス州は第2位の38人となっています。この記事が掲載されている頃には、次の大統領が選出されている頃だと思いますが、皆様お目当ての候補者が当選されたのでしょうか。