ストック・オプション

 

ストック・オプションとは、会社の従業員が一定期間内に一定の価格で自社株を購入できる権利で、従業員のモチベーション向上、また優秀な人材確保する事を目的とした報酬制度の一つです。ストップ・オプションは税法上 (1) 適格ストップ・オプションと (2) 非適格ストップ・オプションの二つに分類されます。

 
ストップ・オプションの種類

  1. 適格ストップ・オプション (Incentive Stock Option)
  2. 非適格ストップ・オプション (Nonqualified Stock Option)

 
① 適格ストップ・オプションの条件

米国税法上、適格ストック・オプションとみなされる為には以下の条件を全て満たす必要があります。

    [ 条件 ]

  • ストック・オプションが付与されてから2年以内は売却できない事
  • 権利を行使後1年以内は売却できない事
  • 権利が付与された日から行使日の3ヶ月前まで従業員である事
  • 付与された時点で株式を10%以上保有していない事
  • 権利行使価格が付与日の市場価格以上でなくてはいけない事
  • 権利行使可能期間が付与日から10年以内である事
  • 1年間に行使できる権利の総額(付与時)が1人につき10万ドル以下である事
  • 付与される株式は役務が提供される雇用者の株式である事

 
② 非適格ストップ・オプションの条件

上記に挙げた要件を満たさないオプションは全て非適格ストップ・オプションとみなされます。

 

米国税務上の取り扱い

適格 非適格
 付与時

非課税

非課税

 権利行使時

非課税

権利行使価格と購入価格の差額に対して通常の給与所得として認識・課税 (Form W-2) [注1]
 売却時

権利行使価格と売却価格の差額が課税対象(キャピタルゲイン)

購入価格と売却価格の差額が課税対象(キャピタルゲイン)

[注1] 同額に対し会社側は損金算入ができる。

 

各オプションの利点

利点
 適格
  • 譲渡益に対し低い税率が適用される(長期キャピタルゲイン)

高額所得者の場合、報酬を現金ではなくストック・オプションとして受け取る事により、譲渡益を通常の所得税率ではなくキャピタルゲインに課せられる低い税率で納付する事により節税効果を得る事ができる。

 非適格
  • さまざまな条件を満たす必要が無い
  • 会社側は権利行使時に損金算入できる

 

課税権利国

通常、譲渡収益は日米租税条約(第13条)により受益者の居住地国のみで課税される事になっていますが、ストック・オプションから得られる収益に関しては特別に給与所得と同じ規定に基づいて課税されます。(条約議定書 第10項)

オプションを付与された日から権利を行使する日までの間が課税の対応期間となっているため、同期間中に日米両国で勤務を行っていた場合には、各勤務期間に応じて米国源泉所得と日本源泉所得とに識別する必要があります。

 

[ 例題 ]

 
 状況

  • 日本入社5年目の終わりにストック・オプションの権利を付与される(日本勤務5年)
  • 付与後引き続き3年間日本で勤務(日本勤務3年)
  • 9年目から4年間米国に駐在員として勤務(米国勤務4年)
  • 帰国3年後に権利を行使(日本勤務3年)
  • 権利行使により譲渡益 1,000万円を取得

 
 課税対象所得

 – 総勤務年数15年のうち10年 (付与日から行使日の期間) が対応期間
 – 1,000万のうち米国勤務分の400万 (1,000万 X 4 年/ 10年) が米国源泉所得
 – 1,000万のうち日本勤務分の600万 (1,000万 X 6 年/ 10年) が日本源泉所得

 

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