結婚と税金

 

先月、同性婚とそれに関わる税金の話をしましたが、今月は結婚に関連する税務面での影響また諸手続きについて話をしたいと思います。

 
結婚する事による税務面でのメリット

例外もありますが、一般的に結婚されている納税者は夫婦合算申告を行った方が税務面でいろいろメリットがあります。税務面で主なメリットとしては次の項目が挙げられます。

控除額の増額
夫婦合算申告をする事の最大のメリットは控除額の増額による節税効果を得る事になります。納税者本人のみならず配偶者の人的控除が取れるほか、標準控除やその他の控除が夫婦合算申告をする事により増額されます。

低税率の適用
米国の個人所得税の税率は申告身分により税率が設定されており、同じ課税所得額にも関わらず申告身分によりそれぞれ違った税率が適用されます。税率が一番高く設定されているのが夫婦個別申告となっており、次いで独身、世帯主、夫婦合算・適格未亡人の順となっています。

個人年金積立への出資
個人年金積み立ての出資金は年度ごとに上限が設定されていますが(2013年は一人当たり$5,500)、婚姻関係にある納税者は収入がまったく無い配偶者の分も年金積み立て出資ができるため、同額に対し個人所得税課税の繰越をする事が可能となります。

 
 
結婚に際し注意する事項

赤の他人同士の人が運命的に巡り会い結婚をするという事は大変めでたく嬉しい事なのですが、同時に対処しなければいけない面倒な事務的処理も多々あるかと思われます。税務面で特に注意していただきたい項目を次に列挙しましたのでご参照ください。

名前の変更
結婚に際し法的に名前(苗字)を変更した場合、米国社会保障庁に変更の旨を連絡し新しい名前が記載された社会保障番号を入手する必要があります。ここで注意して頂きたいのが社会保障番号に登録されている名前と個人所得税申告書に記入する名前は一致する必要があるため、もし何らかの手違いで名前が一致しない場合には申告書が却下されますのでご留意下さい。ちなみに名前の変更は様式SS-5を米国社会保障庁に提出する事により手続きを済ますことが出来ます。

住所の変更
ご存知のように 郵便局による郵便物の転送はある一定期間に限られているため、それ以降の郵便物は指定の住所へは配達されなくなります。そのため転送終了以降も税務関連の通知などの大切な書類が確実に届けられるように住所変更申込書(様式8822)をIRSへ提出するようにして下さい。

源泉徴収額の見直し
夫婦合算申告をする事により追加控除や低税率の恩恵を受けることが出来るため、源泉徴収額を見直す必要があります。源泉徴収額を変更するためには様式W-4を雇用者に提出すれば簡単に変更する事が可能です。

連帯責任
夫婦合算で申告をした場合、税金の納付はもちろん支払い不足による追加徴税や利子・罰則金は夫婦に課せられるため収入の高低に関係なく両者に支払いが義務付けられますのでご注意ください。

ちなみに申告身分は12月31日時点の婚姻状況によって判断されるため、年初に独身であっても年末の時点で法的に結婚が成立している場合には夫婦合算として申告する事が出来ます。逆にほぼ1年間婚姻関係にあったとしても、12月31日時点で法的に離婚が成立している場合は夫婦合算申告をする事はできません。また別居状態にあっても法的に離婚が成立していない場合は、夫婦合算申告をすることが可能です。

 

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