離婚と税金(その3:離婚後の注意事項)

 

結婚に比べ離婚はかなりのエネルギーと気力を要するとよく耳にしますが、離婚が成立したらそれで全てが終わるわけではありません。そこで今月は離婚成立後に特に注意していただきたい税務事項について話をしたいと思います。

 
離婚後の注意事項

① 離婚手当
離婚手当を支払う側は、個人所得税の申告の際に同額を費用控除する事が認められていますが、控除を受けるためには額面が離婚判決に明記され、手当てが現金で支払われる必要があります。規定額以上の手当てを支払った場合、超過分に対して費用控除は認められていません。また申告書に手当を受取る側の納税者番号(ソーシャルセキュリティー番号) を記入する必要があるため、記入漏れがあった場合には $50 の罰金が科せられるだけでなく控除が却下される可能性がありますのでご注意ください。

 
離婚手当を受取る側は、同額を収入として認識する必要があるため所得税を申告する際には所得の一部として申告する必要があります。離婚判決に規定されている金額以上の手当てを受取った場合、または現金以外の資産(例えば車、証券株式)で手当が支払われた場合には離婚手当として認められてないので所得として認識する必要はありません。また離婚が成立する以前に支払われた手当ても離婚手当として認められていませんので、収入として認識する必要はありません。

 
② 養育費
離婚手当とは違い養育費は税金の課税対象外項目となっているため、支払う側は費用控除が出来ず、受取る側も収入として認識する必要はありません。

 
離婚判決に離婚手当と養育費に関する取り決めが明記されている場合、元配偶者に支払われる手当はまず先に養育費あてがわれるため、満額支払わなかった場合は離婚手当に対する支払い不足が発生する可能性があります。例えば離婚判決に養育費・離婚手当それぞれ月 $1,000 (計$2,000)支払う取り決めが交わされていたと仮定し、ある月に $1,500 しか払えなかった場合は、$500 の離婚手当支払い不足が発生します。

 
③ 人的控除(配偶者)
離婚判決に合意し法的に離婚が成立した場合、たとえ元配偶者の生活費を全額負担したとしても配偶者控除を受ける事はできません。

 
④ 人的控除(扶養家族)
扶養家族の控除を得るためにはIRSが定める扶養家族条件の一つである「同居条件」を満たす必要があるため、通常親権を持つ側に控除を申請する資格があります。しかし次の条件を満たした場合には親権を持たない側も特別に扶養家族控除を取る事が認められています。余談ですが、税務面での優遇措置を公平にするため扶養家族控除を1年おきに交代で申請している納税者もいるそうです。

 
[ 条件 ]

  1. 法的に離婚または6ヶ月以上別居している事
  2. 扶養家族の生活費を元夫婦の何れかが半年以上援助している事
  3. 扶養家族が元夫婦の何れかの保護下にある事
  4. 親権を持つ側が扶養家族控除を取らないと宣言書に署名する事

 

⑤ 税額控除
特別条件により親権を持たない側が扶養家族控除を申請する場合、ある一定条件を満たせば児童税額控除も得る事が可能となります。ただし養育費税額控除、勤労所得税額控除に関しては親権を持つ側のみに申請権利が与えられているため、親権を持たない側は先の税額控除の恩恵を受けることは出来ません。

 
著者あとがき
離婚に至る理由は人それぞれ異なりますが、離婚をする事による金銭的損失を最小限に抑えるために近年結婚前に財産分割に関する同意書を準備する人が増えているそうです。

 
最近ある新聞で中国で離婚が増加しているという記事を目にしましたが、読んでみると中国の新しい税法を逃れるために離婚を選択しているという内容でした。実は中国政府が2軒目の家を売却した時に資産売却益に対し20%の課税をする法案を可決したため、家を2軒以上所有している夫婦が節税対策のために一旦離婚をし、それぞれ家を一軒ずつ名義変更をした後、一方の家を売却した後再婚をしているとの事でした。

 
またある統計によると、景気が悪い時は離婚は少なく景気が良い時ほど離婚が多いという興味深い統計結果が出ているようです。統計結果が正確に世論を反映していたのであれば2008年のリーマンショックの時にはきっと離婚は少なかったのでしょう。

 

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