外国金融口座開示の変更

 

近年、取締りの強化が行われている外国金融口座開示の申告方法が変更された事は先月号で触れましたが、今月はその詳細について説明をしたいと思います。

 
外国金融口座開示義務とは

以前にもこのコラムで紹介しましたが、ある一定額の残高を超える外国金融口座をお持ちの方は所定の報告書にて銀行口座の情報を米国財務省に提出する義務があります。開示の対象となるのは米国外にある金融口座(米国系列の金融機関を含む)で、年間最高残高が一度でも1万ドルを超えた場合に開示をする事と規定されています。また開示義務の上限規定は各口座の残高を指すのではなく、全ての口座の合計額となっているのでご注意ください。外国金融口座開示は情報申告として位置付けられているため、残高に対して税金を課せられるということはありませんが、それらの口座から得た利子や配当は課税の対象となりますのでご留意ください。

この報告義務は米国市民、永住権保有者、米国居住者または米国内で何らかのビジネス活動を行っている個人・法人またはそれに順ずる団体が対象者となっているため、非居住者の方は米国外に金融口座を持っていてもその情報を開示する必要はありません。

 
変更内容

昨年まで使用されていた申告用紙TDF 90-22.1 が廃止となり、今年から様式 FinCEN Form 114 にて電子申告が義務化されました。申告は口座の持ち主である本人が FinCEN へ登録して行う事はできますが、所定の委任状 FinCEN Form 114a を作成すれば本人以外の方でも申告を代行する事が認められています。また委任状は提出する必要はありませんが、当局より開示を求められた時に提示する必要がありますので大切に保管ください。

申告変更に伴い管轄がこれまで管理を行っていた財務省から FinCEN へと移行されました。FinCEN (Financial Crimes Enforcement Network) は、「金融犯罪取締ネットワーク」と呼ばれている米国財務省に属する機関で、不正資金浄化(マネーロンダリング)など犯罪組織による違法行為を取り締まる事を目的に銀行秘密法の一環として1990年に設立されました。

 
罰則規定

報告義務がありながらも申告を行わなかった場合には、一口座に付き1万ドルの罰金が科せられ、意図的な隠ぺいを行ったと判断された場合には10万ドルまたは最高残高の50%いずれか多い額の罰金が科せられます。またこれらの資金調達が違法行為によるものと判断された場合には、罰則金が50万ドルに引き上げられ10年の禁固刑も科せられる可能性もあります。

 
[ 主な内容のまとめ ]

  • 米国外の金融口座(米国系列の金融機関を含む)が対象
  • 全口座の合計額が年度中に一度でも1万ドルを超えた場合のみ
  • 米国市民および永住権保持者を含む居住者が対象
  • 電子申告義務化
  • 申告期日は毎年4月15日

 
[ 注意事項 ]
多くの点で報告内容が重複していますが、所得税申告書の一部として開示が義務付けられている外国金融資産報告書 (様式8938)も4月15日までにIRSに提出する必要がありますのでご注意ください。

 

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