先日、会社の同僚から受け取ったメールを開くと目に飛び込んだのは、やや興奮を抑えた嬉しそうなメッセージ。「今年VITAにサインアップして今トレーニングを受けている(以下省略)。」数年前に同内容の記事を寄稿させて頂きましたが、とても利用価値の高いサービスですので、今月は個人所得税申告書の無料作成サービスについて紹介をしたいと思います。
VITA プログラム
1969年税制改革の一環として導入されたVITA (Volunteer Income Tax Assistance) プログラムは、納税者の税務に対する知識を向上する事を目的として開始されました。同プログラムは税務教育の他、ある一定条件を満たした納税者に対して無料で個人所得税申告書の作成サービスを行うプログラムとしても知られています。サービス内容は当該年度の連邦所得税申告のみならず、州所得税申告や過去の修正申告なども対象に幅広く行われています。
申告書の作成を行うボランティアの方達は全員IRSのトレーニングを受け、且つ資格試験に合格する必要があります。また各会場にはIRSの職員または税務の専門知識を持った責任者が最終確認を行うため申告書の質も保たれています。その為、税務申告の知識や経験の無い方には大変役立つサービスと言えるでしょう。
また同プログラムは納税者の所得税申告の手助けをするのみならず、専門家指導のもと税務申告の実務経験を積むことが出来るため、会計学専攻の学生や米国税務に興味のある方にとってもメリットのあるプログラムです。
VITA プログラムの利用資格と会場
VITAの無料申告サービスは主に年間所得が $56,000(2019年申告時点)以下の納税者、障害を持っている納税者、または通訳を必要としている納税者が対象となります。
会場は主に図書館、学校、教会やショッピングモールなどの公共施設がなどが利用され、毎年1月下旬から4月上旬まで活動が行われています。会場によってサービス提供期間や時間が異なり、また予約が必要な場合がありますので会場に足を運ぶ前に事前に業務時間を確認をすることをお勧めします。VITAプログラムの会場は次のリンクより検索できますので、いろは読者の皆様も是非ご利用ください。
必要書類
次に記している必要書類がすべて揃わないとサービスを受けることが出来ませんので、くれぐれも事前にご確認ください。なお夫婦合算申告をする場合には、申告書に両者の署名が必要なため、一緒に会場に行く必要があります。
【 必要書類の主なリスト 】
- 身分証明書(免許証等)
- 生年月日を証明できる書類(免許証、パスポート、出生証明書等)
- 社会保障番号または納税者番号(家族全員分)
- 源泉徴収表(様式W-2)
- 利子・配当所得情報(様式1099)
- 学費・学生ローンに関する書類
- 住宅ローンの情報
- 銀行口座情報(還付を振込する場合のみ)
- 昨年の申告書のコピー(提示が可能な場合のみ)
最後にこの紙面をお借りしてVITAボランティアとして活躍する同僚のサツキさんへ。VITAで習得した知識を最大限に活用して大勢の納税者の力になって下さい。