甚大な被害をもたらした2月の大寒波。観測史上二番目に低い気温を記録し、生活の基盤となるインフラが機能不全に陥り死者も出す事態となりました。今回の事態を受けバイデン大統領は、2月19日に災害宣言を行いました。宣言により該当する地域では FEMA (Federal Emergency Management Agency) から支援を受ける事が可能になりました。今月は、大寒波に関連する事項について紹介をさせて頂きます。
災害地域の確認と救済申請
2月末時点では、テキサス州全254郡のうちFEMAの災害指定を受けている地域は77郡にとどまっていますが、アボット州知事は災害指定地域の対象を拡大するよう引き続きバイデン大統領に要求するそうです。FEMAに災害地域として認定された地区は、こちらのリンクで都市名または郵便番号を入力する事で確認する事ができます。
災害地域に認定されている地区に居住の方および事業を行っている方は、検索結果画面に表示される申請ボタンをクリックして損害に対する救済申請を行う事が出来ます。申請後、前述のリンク先から手続きの状況やその他の救済情報などを確認する事が出来ますので、頻繁にチェックすると良いでしょう。
申告期日の自動延長(連邦)
法人および個人の連邦所得税の申告期日が6月15日まで自動延長されました。延長は納付にも適用され、FEMAの災害指定地区に関係なくテキサス州全土(全254郡)が対象となります。また延長は所得税のみならず以下の申告および納付期日にも適用されますが、情報申告(1099, 1042-S, 8027) には適用されません。
【 その他の延長対象項目 】
- 個人年金積立口座 (IRA) への拠出(通常4月15日期日)
- 第一四半期予定納税(通常4月15日期日)
- 第一四半期給与税の申告および納付(通常4月30日期日)
- 非営利団体 (Non-Profit) の申告(通常5月15日期日)
【 災害損失の控除 】
2018年の大型税制改定により災害損失の控除条件が厳しくなり、控除を受けるためには連邦政府によって災害地認定を受ける事が必須条件となります。
災害損失控除は家屋、家財道具や自動車などが対象となり、保険で補填されない分を控除する事が出来ます。損失額が当該年度の課税所得額を超えた場合、超過分は欠損金 (Net Operating Loss) として翌年度に繰り越し利用する事が可能です。
災害損失控除の申請は、損失が発生した年度(この場合2021年度申告)または前年度(この場合2020年度申告)の何れかの申告で申請をする事が認められています。2020年度の申告を既に終えている方は、修正申告をする事で災害控除を追加する事が出来ます。災害控除を申請する方は、災害損失控除申請書 (Form 4684) の上部に「Texas – Severe Winter Storms」と明記し、FEMA の災害宣言番号 4586 を記入する必要があります。
申告期日の自動延長(テキサス州)
連邦政府の対応に足並みを揃えるべくテキサス州もフランチャイズ税の申告期日を6月15日まで一か月間の延長を発表しました。延長は自動的に行われるため、延長申請を行う必要はありません。6月15日までに申告が行えない場合、Form 05-164を提出する事で最長11月15日まで延長が可能です。ただし延長が認められるのは申告書の提出に限られているため、税金が発生する場合には6月15日までに納付する必要がありますのでご注意ください。
防災グッズ売上税の免税期間
2021年4月24日と25日の二日間は、防災グッズに対し売上税 (Sales Tax) が免除されていますので、是非この機会を利用して防災グッズを準備する事をお勧めいたします。以下が主な免税対象項目と対象外項目となります。(詳細はこちら)
【 免税対象項目 】
バッテリー、煙探知機、一酸化炭素探知機、クーラーボックス、消火器、救急箱、燃料入ボトル、固定器具、照明器具(ろうそく、懐中電灯、ランタンなど)、充電器具、ラジオ、斧、缶切り(非電動式に限る)、防水用シート、保冷剤、非常はしご、防災シャッター($300以下に限る)、発電機($3,000以下に限る)
【 免税対象外項目 】
マスク、手袋、トイレットペーパー、洗浄剤、キャンプ器具、チェーンソー、ベニヤ板、通常のはしご、テント、自動車などのバッテリー
最後になりますが、被災された方々の生活が一日でも早く平常に戻ることを心よりお祈り申し上げます。