飲食店活性化基金

 

先月はバイデン政権によって導入された追加救援策 American Rescue Plan Act of 2021 の中から主に個人所得税にかかわる事項について紹介をさせて頂きました。今月は、追加救済策の一部である飲食店活性化基金について情報を共有したいと思います。

 
飲食店活性化基金
 
飲食店活性化基金 (Restaurant Revitalization Fund) は、コロナ禍において経済的に多大な被害を受けた飲食業を活性化する事を目的に導入された補助金制度で、286億ドルもの資金が割り当てられました。対象となる事業主は、一店舗当たり上限500万ドル(一社当たり上限1,000万ドル)を受給する事ができ、PPP同様に受給額は全額非課税扱いとなります。
(飲食店活性化基金の日本語案内はこちらからダウンロード

 
【 補助金の主な概要 】

  • 全額返済免除(Forgiveness 申請の必要が無い)
  • 全額非課税扱い
  • 5月3日から受付開始(申請はオンラインより)
  • マイノリティーに対する優先申請規定あり
  • 2020年2月15日から2023年3月11日までに発生した費用として使用できる
  • 補助金は2023年3月11日までに全額使用する必要がある
  • 人件費として使用した補助金は Employee Retention Credit と併用できない

 
受給対象者

対象となる業種は、レストランをはじめとする飲食業(フードトラック、フードスタンドなども含む)、ケータリング業、飲み屋(バー、パブ、サロン、ラウンジ、ターバン)、パン屋、軽食業(喫茶店など)、醸造所(ビール、ワイナリー、蒸留酒)に限定されます。

 また今回の補助金は、民間事業が対象となるため地方自治体や非営利団体が運営する事業は対象外となります。民間事業でも2020年3月13日時点で20店舗以上運営している事業や既に閉鎖された事業なども対象外となります。上場企業も基本的に対象外となりますが、フランチャイズ加盟をしている個人事業主は受給の対象となります。

 
補助金の算出方法と使用範囲
 
補助金の算出方法は次の3通りあり、それぞれ営業期間によって異なります。最低補助額が $1,000 と設定されているため、計算の結果受給可能額が最低補助額未満の場合、受給する事が出来ません。

 
算出方法 ①:(2019年以前から営業を行っているケース)

2019年間総収入
  -   2020年間総収入
  -   PPP、EIDL受給額
———————————————――——―――—
  =   受給可能補助金

 
算出方法 ②:(2019年度中に営業を開始したケース)

2019年月平均収入額 x 12ヶ月
  -   2020年間総収入
  -   PPP、EIDL受給額
———————————————――——―――—
  =   受給可能補助金

 
算出方法 ③:(2020年1月1日~2021年3月10日に営業開始・準備のケース)

2020年2月15日~12月31日に発生した費用
  +   2021年1月1日~3月11日に発生した費用
  -   2020年間総収入
  -   2021年1月1日~3月11日の収入額
  -   PPP、EIDL受給額
———————————————――——―――—
  =   受給可能補助金

 
受給された補助金は、対象期間中(2020年2月15日~2023年3月11日)に発生した経費として使用する事が出来ますが、規定外の経費に充当した場合、返済免除を受けられなくなりますので注意が必要です。使用が認められている主な経費として人件費(福利厚生費を含む)、家賃、ローン費用、光熱費、通信費、修繕費、屋外座席設置費用、防護対策費用、消毒・洗浄費用、宣伝費、保険料、ライセンス費用、酒類の原料費などが挙げられます。また2023年3月11日までに全額使用する必要があるため、未使用分の補助金に対して返済を求められます。

 
優先申請規定
 
これまでの補助金と大きく異なる点は、申請者に対する優先規定が設けられている事でしょう。今回の飲食店活性化基金は、資金が平等に行きわたるために女性、兵役経験者、また社会的・経済的に不利な立場にある者(人種、文化的偏見を受ける者、低所得者)によって経営されている中小企業を優先的に手続きを進めるそうです。日本人が経営するレストランなどは、優先規定に該当するため補助金申請手続きを有利に進める事が予想されます。

 

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