新年明けましておめでとうございます。毎年新年と共に訪れるのが所得税の申告ですが、読者の皆様は所得税申告の準備をいかがお進めでしょうか。物価指数やインフレーションの変動に伴い毎年調整が行われる税制ですが、今月は恒例となりました2022年度申告に関する主な税制調整事項を紹介したいと思います。
人的控除 (Personal Exemption)
一時的に撤廃された人的控除は、引き続き2022年も利用する事が出来ません。人的控除の撤廃期限は2025年の課税年度となっているため、現行の税法に変更が無い限り2026年から復活する予定となっています。
標準控除 (Standard Deduction)
標準控除の金額はインフレ調整に合わせて毎年増額されていますが、増額はほぼ数百ドル程度(伸び率約 1% から3%前後)に抑えられています。今年度の標準控除は身者の場合$12,550から$12,950、夫婦合算の場合 $25,100から$25,900、世帯主の場合 $18,800から$19,400 へとそれぞれ増額されます。
自動車マイレージ控除 (Standard Mileage Rate)
2022年度の自動車のマイレージ控除額は、1マイルに付き事業用途で58.5セント、通院・医療用途で18セントへとそれぞれ増額されましたが、近年の類に見ない物価上昇率を考慮して異例ともいえる年度中の変更を行いました。先般のマイレージ控除額は6月末までの適用となり、7月1日から年度末までのマイレージ控除額は1マイルに付き事業用途で62.5セント、通院・医療用途で22セントの期間限定増額となりました。慈善事業用途は変更なく据え置きの14セントとなります。
児童税額控除 (Child Tax Credit)
昨年度の児童税額控除は、American Rescue Plan Act of 2021により控除額が一時的に $3,600 (6歳以上18歳未満は $3,000)へと増額されましたが、2022年度の控除額は通常の$2,000 へと引き戻されました。児童税額控除額を受けるためには諸条件を満たすと共に対象となる扶養家族が、社会保障番号 (Social Security Number) を持っている必要があります。社会保障番号を持たない扶養家族に対しては、納税者番号 (Individual Taxpayer Identification Number) を持ち且つ諸条件を満たす場合に限り一人に付き $500 の税額控除が認められています。
代替ミニマム税基礎控除 (AMT Exemption)
あまり知られていませんが税金の計算方法には二通りあり、納税者は通常の計算方法で算出された税金もしくは代替ミニマム計算方法で算出された税金のどちらか多い方の金額を支払う仕組みになっています。後者の控除額とは代替ミニマム計算方法で算出された税金の控除額の事を指します。2022年度の代替ミニマム税基礎控除額は、独身者の場合 $73,600から$75,900、夫婦合算の場合$114,600か$118,100、そして夫婦個別申告の場合 $57,300から$59,050へとそれそれぞれ増額されます。
401kの年金積立上限
会社が提供する401kなどの任意型年金積み立てプランは、税引き前所得から積立金を捻出する事が認められています。税金は定年を迎えて実際に年金を引き出す時に課税される仕組みになっていますので、税前積立金をフルに活用して資産を増やせるメリットがあります。今年度の積立金上限は、申告身分に関係なく一人当たり $19,500から$20,500 へと増額されました。
仮想通貨 (Virtual Currency)
2022年度中に仮想通貨の取引または保有されていた方は、申告書1ページ目の質問にYesと回答する必要があります。仮想通貨の質問に対する回答は必須となっていますので、該当されない方はNoと回答する必要があります。
所得税の申告期日
通常、個人所得税の申告期日は4月15日となりますが、今年の4月15日が週末に当たるため、自動的に翌営業日の17日に繰り越されます。ただし、繰越営業日の17日がワシントンD.C.の祭日 Emancipation Day (奴隷解放記念日)に当たるため、更に一日繰り越され、結果的に2022年度の申告期日は4月18日となります。
もし万が一申告期日までに提出が間に合わないようであれば、Form 4868 を提出し延長申告の手続きを行えば最長6ヶ月の延長が認められます。ただし延長が認められるのは申告書の提出に限られているため、追徴金が発生する場合には申告期日までに納付する必要がありますのでご注意ください。