日本人にはあまり馴染みがありませんが、ここアメリカでは毎年納税者の義務として個人所得税の申告を行う事が一般的となっています。既に申告を終えている方もいると思われますが、今月は未だ申告を終えていない方の為に耳よりの情報について紹介をしたいと思います。
VITAプログラム
1969年税制改革の一環として導入されたVITA (Volunteer Income Tax Assistance) プログラムは、納税者の税務に対する知識を向上する事を目的として開始されました。同プログラムは税務教育の他、ある一定条件を満たした納税者に対して無料で個人所得税申告書の作成サービスを行うプログラムとしても知られています。サービス内容は当該年度の連邦所得税申告のみならず、州所得税申告や過去の修正申告なども対象に幅広く行われています。
申告書の作成を行うボランティアの人は全員IRSのトレーニングを受け、且つ試験に合格する必要があります。また各会場にはIRSの職員または税務の専門知識を持った責任者が最終確認を行うため申告作業の質も保たれています。その為、税務申告の知識や経験の無い方には大変役立つサービスと言えるでしょう。
また同プログラムは納税者の所得税申告の手助けをするのみならず、専門家指導のもと税務申告の実務経験を積むことが出来るため、学生や税務に興味のある方にとって勉強になる良い機会となります。
VITAプログラムの利用資格
VITAの無料申告サービスは年間所得が$60,000以下の納税者、障害を持っている納税者、または英語力不足により通訳を必要としている納税者が対象となります。
TCEプログラムの利用資格
あまり知られていませんが、TCE (Tax Counseling for the Elderly) と呼ばれる高齢者を対象とした無料申告サービスもあります。TCEプログラムは利用資格として所得条件を設けていませんが、60歳以上の納税者を対象とした無料申告サービスとなります。夫婦合算申告の場合、夫婦何れかが60歳以上であれば条件を満たす事が出来ます。
両プログラム(VITAおよびTCE)共に図書館、学校、教会やショッピングモールなどの公共施設が主に会場として利用され、毎年1月下旬から4月上旬まで活動が行われています。会場によってサービス提供期間や時間が異なり、また予約が必要な場合がありますので会場に足を運ぶ前に事前に対応時間を確認をすることをお勧めします。両プログラムの会場は次のリンクから検索できますので、いろは読者の皆様も是非ご利用ください。
必要書類
無料申告サービスを受けるためには、次の必要書類を提示する必要があるので、事前に確認するようご注意ください。夫婦合算申告をする場合、申告書に両者の署名が必要なため、一緒に会場に出向く必要があります。
【必要書類の主なリスト】
- 写真付き身分証明書(免許証など)
- 生年月日を証明できる書類(免許証、パスポート、出生証明書等)
- 社会保障番号または納税者番号(家族全員分)
- 源泉徴収表(様式W-2)
- 利子・配当所得情報(様式1099等)
- 学費・学生ローンに関する書類
- 住宅ローンの情報
- 銀行口座情報(還付を振込する場合のみ)
- 昨年の申告書のコピー(提示が可能な場合のみ)
実は、かく言う私も学生の頃VITAの一員としてアーリントンの会場で税務申告のお手伝いをした経験があります。家庭によってそれぞれ申告内容が異なりますが、来場した全員が皆共通に期待するのが還付金でしょう。税務申告を終え、納税者の方々に還付の金額を知らせた時の嬉しそうな笑顔を今でも鮮明に覚えています。いろは読者の皆様もどうぞご利用ください。