申告を終えて

所得税の申告も無事終わりホッとしている頃ではないでしょうか。還付請求を行われた方、追加で納付をされた方それぞれいらっしゃると思われます。今月は、申告後の対応および来年度の対策について話をしたいと思います。

還付について

まず還付のあった読者の皆様。おめでとうございます。追加で支払いが発生するよりも還付がある方が気分が良いのは明らかですが、還付の金額しだいでは無条件に両手を挙げて喜んでもいられません。還付があるという事は簡単に言えば必要以上に税金を多く支払い、無利子でIRSに貸し付けをしたも同然なのです。還付額が数百ドル程度であれば良いのですが、金額が数千ドル以上にもなると利子を貰い損ねたも同然なので、源泉額を見直す必要があります。

還付処理にかかる日数は申告方法によって異なり、通常電子申告の場合72時間以内、紙で申告された場合は約4週間以内に還付の手続きが行われます。還付をまだ受け取っていない方は、 次のリンクより必要情報を入力して還付状況を確認する事が出来ます。

追加納付について

税金の支払い不足が発生した場合、不足分に対して罰則金が加算されますが、納付額が次の何れかの場合には罰則金は発生しません。また罰則金の例外として支払い不足が $1,000 以下の場合、または前年度に居住者として申告し、かつ税金を支払う必要が無かった場合には、源泉徴収額に関係なく支払い不足による罰則金は発生いたしません。

[ 罰則金回避の条件 ]

  1. 今年度の納税額の90%以上を納めている場合、または
  2. 昨年度の納税額以上を納めている場合(高額所得者は、昨年の納税額の110%以上)

追加支払いのあった方には理解し難いかもしれませんが、支払い不足による罰則金が発生していなければ実は適度の税金を納めたと言っても過言ではありません。必要以上に税金を徴収されず、また過小納付による罰則金も支払う必要も無いため、理論的では資産を上手く運用する機会を得たと言えるでしょう。過少納付に対する罰則金を追徴された場合、無駄な税金を支払う結果となりますので、納付額を調整し何らかの対策を講じる必要があるでしょう。

夫婦合算申告を行った場合、税金の納付はもちろん支払い不足に対する追徴税、利子や罰則金などは連帯責任となります。その為、仮に申告後に離婚をしても離婚調停の内容に関係なく両者が支払い義務を負う事になります。厄介なのが、夫婦の何れが幾ら納付を負うという規定を設けていないため、IRSは支払い能力のある納税者に納付を催促します。またIRSがその気になれば納税者の銀行口座から不足分を直接徴収できる権利を持っているため、ある日突然自分の銀行口座から税金が差し引かれる事も起こりえます。

金銭的理由により追加納付額の一括払いが困難な場合には、Form 9465 を提出する事により税金の分割払いを行う事が認められています。ただし、納付期日を超す納付となるため、過小納付に対する罰則金、また全額が納付されるまでの延滞利子は加算されますのでご注意ください。

来年度の対策

所得税の過払い、または不足を回避する対策としてまず挙げられるのが源泉税額の変更でしょう。所得税の申告後に多額の還付金を受け取った方は、月々の給与から過度に税金が源泉徴収されていた事になります。逆に追加で税金が発生した方は、適度な税金が源泉徴収されなかった事が原因となります。その為、来年度の対策として源泉徴収額を見直す事をお勧めします。源泉額は Form W-4 を雇用主に提出する事で簡単に変更が行えます。各個人の事情によって異なりますが、お金の管理に自信の無い方は故意に税金を多く納め、浪費を抑える対策と取られても良いでしょう。

源泉税額の変更以外の対策として予定納税(Form 1040-ES)を行う事も考えられます。予定納税の納付は、当該年度の予想税額を均等に4分割し、それぞれ納付期日(4月15日、6月15日、9月15日、翌年の1月15日)に収める必要があります。給与額が固定されているサラリーマンは源泉税額の変更を行う事で納付額を調整しますが、自営業者の場合、毎年収益が変動するため予定納税で納付額を調整される方が多いようです。

延長申請

諸事情により申告期日までに提出が間に合わない場合、Form 4868 を提出する事で最長6ヶ月の延長が認められます。ただし延長が認められるのは申告書の提出に限られているため、追徴金が発生する場合には申告期日までに納付する必要がありますのでご注意ください。今年は通常に申告日である15日が週末に当たり、且つ翌営業日の17日がワシントンD.C.の祭日 Emancipation Day (奴隷解放記念日)に当たるため、今年度の申告期日は4月18日となります。

一般的な納税者は年収の約4ヶ月分を税金として納めていると言われている事から申告期日は Tax Freedom Day とも呼ばれています。つまり毎年4月15日までは政府のために働き、4月15日以降は自分の為に働くと言う訳です。今年度も納税者としての義務を果たした読者の皆様、本当にお疲れ様でした。残りの8ヶ月は自分や家族の為にお互い頑張りましょう。

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