固定資産税と査定額

5月 1, 2022

ここ数年不動産価格が記録的な上昇を続け不動産ブームとなっていますが、それに伴い不動産の査定額も年々上がってきています。家を持っている方にとって資産の価値が上がるのは喜ばしい事ですが、同時に固定資産税の負担増加にも繋がりますので両手を挙げて喜べるのか少し複雑な気持ちになる事と思われます。今月は、固定資産税と査定額について話をしたいと思います。

固定資産税

所得税を設けていないテキサス州では、売上税と固定資産税(動産税を含む)が州および地方自治体の主な財源となります。固定資産税は、土地や建物などの不動産に課税をする税金で各郡 (County) が管理を行っています。税率は、不動産所在地の郡、市、学校区、病院や特別地区など複数の税率から構成されているため、一概に何パーセントと言えませんが、ダラス郡の平均実効税率は 2.5% 前後になります。税率のみ比較をすると全国平均税率約 1.0% の2倍以上となり、固定資産税は全米13番目に高い州となります。

固定資産税額は、不動産査定額から控除額を差し引いたネット査定額に税率を掛けて算出されます。つまり、税額を左右する三つの要素は、査定額、控除額と税率となります。過去の傾向から毎年大きく変動するのは査定額で、控除額は固定、税率はここ数年横這い、または微減となっています。その為、固定資産税額はほぼ査定額によって左右されていると捉えても良いでしょう。

固定資産税額 = ( 査定額 – 控除額 ) ✕ 税率

査定額

不動産の査定基準はテキサス州税法第 23.01 項に定められており、1月1日時点の市場価格で査定を行うと明記されています。査定の方法として次の三通りの手法が認められています。査定額の通達は毎年4月中に行われますが、何らかの理由により通知を受け取らなかった方は、居住管轄の郡のサイトから直接その年の査定額を確認する事をお勧めします。

【査定方法】

  • 市場価格法 (Market Approach)

市場価格法とは、条件が類似する(築年数、敷地面積など)不動産物件の直近の売買価格からスタートし、相違点などを調整項目として査定を行う手法です。

  • 収益還元法 (Income Approach)

収益還元法とは、投資家が将来見込める収益に対して現時点で該当する不動産が幾らの価値があるかの判断を行う手法です。

  • 原価法 (Cost Approach)

原価法とは、現存の不動産物件を立て直すと仮定した場合にかかる費用を先ず算出し、その金額に減価償却費を差し引き、土地の価値を足して査定額を算出する手法です。

不服申し立

査定額の通知と共に不服申し立て用紙も同封されますので、通知された金額に納得がいかない方は査定審査委員会 (Appraisal Review Board) に対して異議を申し出る事が可能です。不服申し立ては、ある一定期間内に行う必要があり、その期間内に申し立ての手続きを怠ると郡から提示された査定額が自動的に確定されますので注意ください。

不服申し立ての申請が一旦受理されると、公聴会の日程が設定され、査定額に対する異論の理由、妥当な査定額およびそれらを裏付ける資料を提出する必要があります。公聴会へは本人または代理人を送る事が可能で、出廷する時間の無い方は、それらの資料を郵送またはオンラインから提出する事も認められています。

【不服申し立ての手順】

  1. 固定資産査定額の通知を受け取る(4月下旬ごろ)
  2. 査定額に同意しない場合、不服申し立ての手続きを行う(5月31日まで)
  3. 公聴会の日程案内を受け取る(6月ごろ)
  4. 査定額に対する資料を提出する(7月ごろ)
  5. 最終査定額が確定される

提出資料

不服申し立てを行うのは、あくまで査定額を下げてもらう事を目的としているため、持ち家の査定額より低い情報を収集し説得材料として提出する必要があります。比較対象となる家の査定額が高いと逆に査定額を上げられるリスクがありますので、不利になる情報は提出しないようご注意下さい。十数年前までは、不動産業者でない限りこの様な情報の収集は困難でしたが、今は簡単にオンラインで情報を入手する事が可能ですので専門業者に頼らず自ら準備を行う事も可能です。またテキサス州では年間の査定額上昇率の上限が10%(テキサス州税法第 23.23(a) 項)と定められているため、査定額がそれ以上を上回っている場合には、それも説得材料になりますので証拠資料の一部として準備されることをお勧めいたします。

特に今年度の査定額は、近年の不動産ブームに押し上げられる形でかなり高額になっているとニュースにもなっていましたので、いろは読者の皆様も査定額を確認し、必要に応じて不服申し立てを行うと良いでしょう。

【主な提出資料】

  • 近所に位置する似た物件(築年数、敷地面積など)の不動産査定額
  • 近所に位置する似た物件の買値
  • 家屋への損傷、劣化等の証拠写真または修繕費の見積り額
  • 売買契約書のコピー
  • 上記10%ルールを違反している根拠資料