テキサス州の税金(その③:まとめ)

5月 1, 2019

 

二部にわたり「テキサスは州税が無いから」と言う書き出しでテキサス州の税金について検証を行ってきました。今月は、個人の税金ではあるものの法人にとって金銭的負担となる駐在員コストについて検証しつつ、今テーマの総括をしたいと思います。

 
駐在員コスト

一般的な駐在員の場合、日本と米国での給与格差を無くすため米国支給の手取り金額(ネット支給額)が保障されている雇用形態が多く、その所得に対する税金も法人が負担する事が通例となっています。また給与以外の雇用条件として課税対象となる福利厚生(住宅手当、教育補助など)を提供する事が多く、法人の金銭的負担は自ずと増加する事は言うまでもありません。

 
[ 駐在員給与の特性 ]

  • 日米における税制格差を補填するため手取り額を保障
  • 給与以外の手当(住宅補助、教育補助)などを提供
  • 所得に対する税金(連邦・州税)を法人が補填

 

個人レベルの節税効果

テキサス州は州レベルの所得税を設けていないため、給与やその他所得に対する課税は連邦のみとなります。その為、テキサス州に移住する事で節税効果を得る事が可能となります。駐在員コストとして間接的に個人所得税を負担している法人も節税効果を得る事ができ、駐在員の州所得税申告サポートに費やす時間や経費も同時に軽減する事ができます。

 
法人レベルの節税効果

法人の観点から考察すると、フランチャイズ税を課税するテキサス州において事業を移転する事で恩恵を受ける法人とそうでない法人の両者が想定されます。

まず恩恵を受けるケースとしては、年間総収入額が $1,130,000 以下(2019年時点)の法人が挙げられます。小売また卸売業に対する税率(0.375%)も低めに設定されているため、業種によって恩恵を受けるケースも考えられます。(その他の業種の税率は 0.75%)逆に最も不利益なケースは、年間総収入額が $1,130,000 以上あり且つ赤字決算となる法人が挙げられます。先月号で紹介しましたが、フランチャイズ税は税率を掛ける対象が販管費用を含めた「純利益」ではなく販管費用をほぼ無視した「粗利益」であるため、状況によって赤字決算の年度でも税金が発生する可能性があります。また、累積赤字の概念が無いため、年度別の課税所得同士を相殺する事も出来ません。

 
あとがき

前述のとおり、テキサス州に移住する事で個人レベルで節税効果を得る事が出来ます。駐在員の州税を補填している法人も間接的に恩恵を受ける事は出来ますが、同時に法人としてフランチャイズ税に対する課税リスクを負う事になりますので実質的にかかるコストは州所得税だけではないということを理解する必要があります。

税金面での州別格差は、法人の運営に大きな影響を及ぼしますが、税制は単なる一つの要素であり、必ずしも所得税が無い州が有利であるとは一概に言えません。そのため活動拠点を漠然と決めるのではなく、法人の戦略をもとに税制を含めたいろいろな要素を総合的な観点から検討する事が重要になります。

5つの税制度(個人所得税、法人所得税、売上税、雇用税、資産税)を考慮して非営利税制調査団体 (Tax Foundation) が毎年発表する州別税環境ランキングによると全50州の内ワイオミング州が最も税環境が良い州で、ニュージャージー州が不名誉の50位となっています。近年よく比較されるテキサス州は15位にランクインされ、カリフォルニア州は最後から二番目の49位となっています。
(2018年7月、非営利税制調査団体調べ)

いろは読者の中でテキサス州へ移住された方々が何らかの恩恵または引っ越されて良かったと実感されていれば幸いです。