個人所得税の控除項目の中に人的控除という項目があり本人、配偶者及びある一定条件を満たした扶養家族に対し一定額の控除が認められています。控除を得るための条件はそれぞれ異なりますが、申請をする方は社会保障番号または納税者番号のいずれかを持っている必要があります。
[ 人的控除の種類 ]
① 納税者控除 (Personal Exemption)
② 配偶者控除 (Spousal Exemption)
③ 扶養家族控除 (Dependency Exemption)
① 納税者控除(本人)
税務申告を行う本人に与えられる人的控除で居住・非居住者のいずれの居住身分でも申告は出来ますが、非居住者として申告をする場合は既婚者であっても配偶者控除を取る事はできません。
本人 | 配偶者控除 | |
居住者 | 可 | 可 |
非居住者 | 可 | 不可 |
② 配偶者控除
配偶者控除は既婚納税者の配偶者に与えられる人的控除で、申告時に配偶者は米国居住者である必要があります。配偶者や家族を日本に残して単身赴任という形で渡米されている場合は、特別に「配偶者の米国居住者選択」をする事により配偶者控除を取る事が可能となります。
また居住者として夫婦個別申告をする場合でも、配偶者の米国源泉所得がゼロの場合のみ配偶者控除を取る事が認められています。
③ 扶養家族控除
扶養家族控除は大きく分けて次の二種類に分類され、各扶養家族条件を満たす場合に限り控除が認められています。また同時に米国市民または米国税法上居住者である必要があるため、法律上は扶養家族であっても日本に居住の場合には控除は認められません。
扶養家族控除の種類
I. 適格家族 (Qualifying Child)
II. 適格親族 (Qualifying Relative)
I. 適格家族の条件
- 家族条件: 3親等以内の家族である事
- 同居条件: 半年以上一緒に同居している事(例外①)
- 年齢条件: 12月31日時点で19歳未満である事(例外②)
- 扶養条件: 年間生活費の50%以上を負担している事
- 申告条件: 扶養家族が夫婦合算申告をしていない事
[ 例外① ]
当該年度中に生まれたまたは亡くなった場合、離婚調停による別居、病気、学業、仕事、休暇、従軍などが理由の場合は例外として「同居条件」を満たす必要はありません。
[ 例外② ]
障害者または24歳未満で学生の場合は例外として「年齢条件」を満たす必要はありません。
II. 適格親族の条件
- 親族条件: 次の親族関係にある事(注釈②)
- 同居条件: 一年間一緒に同居している事(注釈②)
- 年齢条件: 年齢制限なし
- 扶養条件: 年間生活費の50%以上を負担している事
- 所得条件: 年間総所得が控除額よりも少ない事
[ 注釈① ]
次の親族関係(子供、養子、孫、兄弟、両親、祖父母、儀父母、姪、甥、叔父、叔母、義理の息子・娘、義理の両親、義理の兄弟)にある場合は、「同居条件」を満たす必要はありません。
[ 注釈② ]
一年間一緒に同居した場合は親族関係でなくても良い。