税制改革(その1:個人所得税)

2月 1, 2018

 

昨年の12月22日にトランプ大統領の署名により法制化された税制改革。レーガン大統領以来の大型税制改革となり、経済効果もかなり期待されているようです。今月は、いろは読者の皆様へも影響を及ぼすと思われる改正内容を個人所得税の観点から紹介したいと思います。

 
税率

個人所得税の税率は、累進課税(課税所得の金額によって税率が変動するシステム)と呼ばれる7段階の課税方法が採用されています。現行の7段階から変更はありませんが、各グループ別の税率がそれぞれ10%、15%、25%、28%、33%、35%、39.60% から10%、12%、22%、24%、32%、35%、37%へと引き下げられました。

適用されるグループによって税制改革の恩恵を受けられないように思う方もいらっしゃるかもしれませんが、各グループ別の課税対象金額も変更されたため、改正前であれば高税率のグループに属した方が改正後は低税率のグループに属する恩恵を受けることが出来ます。単純にグループ別の適用税率を比較した場合、課税対象所得が $19,000 であれば15%の税率が適用される2017年と比べ2018年度では10%の税率が適用される事になります。(夫婦合算申告の場合)

 
人的控除 (Personal Exemption)

個人所得税の控除項目の中に人的控除という項目があり本人、配偶者及びある一定条件を満たした扶養家族に対し一定額の控除が認められていました。2017年度は一人当たり$4,050 の人的控除額が認められていますが、税制改革により2018年度以降は人的控除が撤廃されたため世帯数が多い納税者にとっては大きな影響を及ぼすのは否めません。

 
標準控除 (Standard Deduction)

標準控除の金額が2018年度課税年度からほぼ倍増され、2017年度の標準控除額が夫婦合算の場合だと $12,700から$24,000へと増額されました。(独身は$6,350から$12,000、世帯主は$9,350から$18,000、夫婦個別は$6,350から$12,000)

 
項目別控除 (Itemized Deduction)

  • 地方税 – 上限が設けられていなかった固定資産税、売上税、動産税や州所得税などの地方税に対し控除額の上限が計 $10,000 へと変更されます。
  • 住宅ローン利子 – 住宅ローン支払利子控除の生涯限度額が$100万から$75万へ減額されます。
  • 住宅担保ローン – 今まで控除が認めれれていた住宅担保ローンの利子控除が撤廃されました。
  • 医療費 – 控除可能な金額が調整課税所得額の10%以上と制限されていた上限率が2017年度と2018年度に限り5%へと引き下げられました。
  • 災害損失 – 災害損失の控除が連邦政府によって被災地認定を受けた場合のみと限定されます。

項目別控除の変更内容のみ注目するとあたかも納税者にとって不利な税制改革のようにも見受けられますが、実際のことろ大半の方が標準控除を適用した申告を行っているため、恩恵を受ける納税者が増えると専門家の方は見ているようです。

 
その他

  • 離婚手当 – 控除として認められていた離婚手当が撤廃されました。
  • 引越し費用 – 引っ越し費用の控除が撤廃されました。
  • 児童税額控除 – 児童税額控除額が現行の $1,000から$2,000 への増額されました。
  • 529学費積立 – 用途が大学以上の学費のみと制限されていた積立金が、中等教育費にも利用できるようになりました。
  • 無保険罰則金 – オバマケアの一環で導入された保険未加入者に対する罰則金が撤廃されました。
  • 申告費用 – CPAや税理士などに支払う申告費用の控除が撤廃されました。

 
上記のように今回の税制改革によりかなり大幅な変更が行われましたが、殆どの変更規定が7年後の2025年度に失効するよう制定されています。