電気自動車補助金

8月 1, 2022

先月の27日に、民主党のシューマー上院院内総務とマンチン上院議員が共同でインフレ低減法案 (Inflation Reduction Act of 2022) を発表しました。同法案は、2021年11月に下院議会で承認を受けた税制改正案 (Build Back Better Act) の規模を縮小し、新にインフレ対策を盛り込んだ代替修正案として位置づけられています。今月は同法案の大まかな枠組みと、法案の一つとして盛り込められた電気自動車の補助金制度について紹介をしたいと思います。

インフレ低減法案

歳出額があまりにも莫大なため、なかなか成立に至らない Build Back Better Act の修正案としてインフレ低減法案が発表されました。同法案はBuild Back Better Act法制化の障害となっていた歳出額を縮小し、法人税の増額、気候変動対策と共に財政赤字の補填を主な目的としています。

【主な法案項目】

  • 最低法人税率 15% の導入
  • IRSへの増資と監査要員追加
  • オバマケアの適用範囲拡大と3年間の延長(2025年まで)
  • 医療薬品の価格改定(Medicareなど高齢者医療保険制度に限定)
  • クリーンエネルギー控除の復活(ソーラーパネル設置費用控除など)
  • クリーンエネルギー製造業者への税額控除
  • 電気自動車の補助金

現行の電気自動車補助金制度

現行の補助金制度 (内国歳入法第 30D条) は、2010年以降に販売された電気自動車が対象となり、車種によって補助金が $2,500から上限 $7,500 となっています。また補助金制度が利用できる販売台数の上限が自動車メーカ毎に最大20万台までと制限されており、現時点でテスラ、ジェネラルモーターズおよびトヨタ自動車が既に上限に達しており、日産自動車とフォードがほぼ上限に達しつつあるようです。

次のリンク先でメーカー別対象車種および補助金額を確認する事が出来ます。

電気自動車補助金制度修正案

修正案は各自動車メーカに割り当てられた上限台数を撤廃し、代わりに車両の販売価格に対して補助金を給付する内容となっています。

新車に対する補助金は最大 $7,500 で、対象条件として希望小売価格がそれぞれ普通自動車は $55,000以下、ピックアップ、SUVとワゴン車は $80,000 以下となっています。中古車の補助金は最大 $4,000 となり、販売価格が $25,000 以下の車両が対象となります。また購入者の所得も条件の一つとして考慮され、新車購入の場合、独身者 $150,000 以下(夫婦合算 $300,000 以下)、中古車購入は独身者 $75,000 以下(夫婦合算 $150,000 以下)が条件となっています。

前述の条件に加え、販売される車両がアメリカと自由貿易協定を結んでいる国で採取された資源(リチウムなどのレアメタル)、またはそれら協定国で処理された資源を利用し、且つ部品の大部分が北米で製造または組み立てられたバッテリーが搭載されている事が条件となります。

法案策定に至るまで

バイデン政権は、労働組合を認めている自動車メーカに対して $4,500 の追加補助金を提案していたようですが、マンチン上院議員が労働組合を認めていないテスラやトヨタ自動車に対して公平でないと強く反対したそうです。また電気自動二輪車は同法案に考慮されていないため、業界から不満の声が漏れているそうです。

今後の動向

電気自動車推進派は、補助金制度が電気自動車の普及に不可欠であると常々訴えており、同法案がバイデン政権が掲げる温室効果ガス排出量の削減目標を達成するためにも極めて重要な政策であると考えられています。事実、2021年の電気自動車販売数は約65万2千台に上るようですが、車両の販売数全体に占める割合は僅か 4.4% に留まり、未だSUVやピックアップなどガソリン車が主流の様です。

法案が成立に至るまで修正が行われると予想されますが、キーポイントはアメリカ経済(国内生産)と温室効果ガス排出量削減のバランスを取りつつ、世界有数の鉱物資源を誇る中国を意識した修正内容になると予想されます。仮に同法案が成立された場合、補助金対象台数の上限に達しているテスラ、ジェネラルモーターズまたトヨタ自動車にとって喜ばしいニュースとなるでしょう。