ご存知の通り米国市民または永住権保持者の方々は常に米国居住者として扱われるため、米国外に居住されても全世界所得が課税の対象となります。そのため滞在先の国で所得税を納める義務が発生した場合、同じ所得に対して二重に所得税を納める不利益が生じます。
このような二重課税を防止するため次の二つの条件を満たした場合、最大で $105,900 (2019年度) を課税所得から控除する事が認められています。(本年度の控除限度額はこちら)
また控除の対象となるのは海外で得られた勤労所得に限られており、非勤労所得(利子、配当、年金など)は控除できません。
[ 適用条件 ]
- Tax Home (税法上の居住国) が米国外にあり、かつ
- Bona Fide Residence Test または Physical Presence Test の何れかを満たす事
Bona Fide Residence Test
当該課税年度一年間(1月1日から12月31日まで)を含む期間を継続して米国以外の国に居住している事。また同期間中に米国を含む他国へ海外旅行や出張は認められていますが、滞在があくまで一時的である事が条件となっています。
Physical Presence Test
連続する何れの12ヶ月間において330日以上米国外に滞在している事。同期間中に米国以外の国へ旅行や出張があった場合には、それらの滞在日数を330日として計算する事は認められていますが、滞在先が米国の場合は、330日として計算する事は出来ません。
[ 延長申請 ]
外国勤労所得控除または海外住宅手当控除を申請する場合は、通常の延長申請書の代わりに様式 2350 を提出する必要があります。提出期限はそれぞれ米国在住の場合は4月15日、海外在住の場合は6月15日となります。
[ その他の注意事項 ]
- 国交断絶
国交を断絶している国に在住している場合、外国勤労所得控除は認められません。
- 国家公務員
国家公務員(米国連邦職員)として得た所得は、外国勤労所得の対象外となるため控除は認められません。
- 非居住者申請
在住先で非居住者申請を行ない、同国から非居住者として扱われる場合には外国勤労所得控除は認められません。
- 選択の有効期間
一度控除の選択(海外住宅手当控除、外国勤労所得控除、または両方)を行うと、所定の手続きにて選択を無効にするまで控除選択は有効となります。また一旦無効手続きを行うと、IRSの許可を得ない限りその年を含め5年間無効申請をした控除を選択する事は出来ませんのでご注意ください。
- 控除額の制限
海外住宅手当控除と併用した場合、控除額に制限が発生します。