永住権と税金(その②)

 

先月は永住権を取得した際に関する税務事項について紹介しましたが、今月は逆に永住権を放棄した場合に発生する注意事項について話をしたいと思います。

 
国籍離脱税

近年、永住権を保持する価値以上に税務申告などの規則を順守する手間や経費がかさむため、永住権を放棄する人が増えています。また税金回避を目的で市民権を放棄する裕福層が後を絶たないため、放棄者に対する規則が年々厳しくなっています。

市民権や永住権を放棄した場合、通常の所得税に加え国籍離脱税 (Expatriation Tax) が課税されますので、放棄の際には十分注意をする必要があります。現在のところ国籍離脱税は、市民権を放棄した米国市民および永住権を放棄した長期居住者 (Long-term resident) が対象となっているため、それ以外の方は永住権を放棄しても国籍離脱税を納める必要はありません。

 
長期居住者の判定

永住権を放棄した年から遡って過去15年間のうち8年上永住権を保持した者は、長期居住者として取り扱われ国籍離脱税の対象となります。また年間の計算方法は、永住権をを保持していた日が1日でもあればその年を1年として数えるため、最短で6年と2日で長期居住者として扱われます。例えば、2008年12月31日に永住権を取得し2015年1月1日に放棄した場合、実際に永住権を保有した期間は6年弱となりますが、2008年と2015年もそれぞれ1年として計算されるため、長期居住者の条件を満たす8年として取り扱われます。

ただし、実際に永住権を保持していても租税条約を適用して外国の居住者という立場をとっていた場合には、その年は永住権の保有年数には数えられません。

 
みなし売却益

長期居住者と判定された方は、みなし売却益に対する課税を国籍離脱税という形で収める義務があります。みなし売却益は、所有している資産をあたかも売却したと仮定した「みなし」売却益に対して課税する税金で、永住権を放棄した前日の市場価格を適用し、控除額(2014年は$680,000)を超える売却益が発生した場合に納付する義務があります。

みなし売却益に対する税金が発生した場合、納付を実際に資産が売却される時まで繰延べすることが認められていますが、その場合担保を差し入れる必要があります。また国籍離脱税申義務があるにも関わらず申告を怠った場合には、最高で $10,000の罰則金が課せられますのご注意下さい。

 
申告居住身分

永住権を放棄する年は、二重身分(放棄前が居住者、放棄後が非居住者)として申告することになり、みなし売却益を含めて所得税を申告すると共に、様式 8854 を追加で添付する必要があります。

先日、永住権について相談に来られた方は、いろいろ悩まれたそうですが熟考した結果、永住権を放棄し日本へ帰国する事に決めたようです。帰国後も一層のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

 

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