トヨタ北米本社移転、新幹線鉄道建設計画といろいろ経済発展の話が絶えない昨今ですが、それと平行して仕事または調査でテキサスを訪れる人が増えているようです。米国での課税条件は雇用形態(駐在、出張)に関係無い事はあまり知られていないようですので、今月は出張者に関する税務事項について話しをしたいと思います。
① 滞在日数が90 日以内の場合
通常給与や賞与などの勤労所得は、役務提供地により源泉地が決まり居住身分により課税範囲が確定されます。そのため米国で出張期間中に得られる所得は、米国源泉所得として認識され居住身分や金額しだいでは米国で所得税の申告義務が発生し、所得に対して税金を納める必要があります。しかし、次の3条件を満たした場合には、出張中に得られた所得は米国源泉所得とはみなされず米国で非課税扱となります。
[ 短期滞在免税の条件 ]
- 米国滞在日数が90日以内である事
- 出張中の給与が $3,000 以下である事
- 雇用者が米国内で事業活動を行っていない事
② 在日数が90 日を越えた場合
長期出張により90日以上の滞在となった場合には、日米租税条約(第14条)を適用する事で出張期間中に受取る給与を全て非課税扱にする事が認められています。ただし日米租税条約の適用は自動的に受けることが出来ないため、規定の適用を受けるために必要書類(様式 1040NR と様式 8833)を個人所得税申告と共に提出する必要があります。
[ 適用条件 ]
- 米国での滞在日数が183日を超えない事
- 給与が日本法人から支払われる事
- 給与が米国現地法人に負担されない事
③ 滞在日数が183 日を越えた場合
事情により米国滞在日数が183日を越えて米国居住者になってしまった場合には、全世界所得が課税の対象にりますが、ある一定の条件を満たした出張者に対し特別に非居住者扱とする事が認められています。
ただし非居住者として認定されるためには、日米租税条約(第4条)を適用し、居住判定基準に基づいてより密接に関わりがある方の国の居住者である事を証明する必要があります。通常、自宅または家族の住んでいる国の居住者として認識されますので、米国で183日以上の滞在となった場合でも非居住者として判定されるのが一般的となっています。また勤務地によって州所得税の申告義務も発生する場合がありますのでご留意ください。
[ 居住国判定基準 ]
- 恒久的住居の所在地
- 経済的関係の密接度
- 常用の住居の所在地
- 国籍による判断
- 両国間による協議