所得税の申告のみならず、就職時、銀行口座開設、運転免許証取得、その他いろいろな諸手続きで提示または情報提供を求められる社会保障番号は、納税者番号とよく混同されますが、実は発行目的と使途が大きく異なります。今月は両者の違いについて話しをしたいと思います。
社会保障番号
もともと社会保障番号 (Social Security Number) は、社会保障給付金の受給記録を管理するため1936年に導入されましたが、住民票や戸籍制度がない米国では、近年主に身分証明として取り扱われています。公的書類の申請はもちろん、銀行口座の開設や運転免許証申請の際に身分証明書として提示を求められるのが一般的となっています。
社会保障番号は社会保障庁 (Social Security Administration) が管理し、通常米国市民、永住権保持者、労働許可が下りた外国人またはその扶養家族を対象に発行されます。番号は9桁の数字で構成され、最初の3桁は番号を発行した管轄を意味し、続く2桁はグループ番号を指し、最後の4桁は整理番号となっています。管轄番号はアメリカ東部から西部に割り当てられているため、ニューヨークなどの東部で発行された番号は西部ロサンゼルスなので発行された番号に比べ低い数字となっています。現在のところ申請費用は無料で、郵送または最寄の社会保障事務所の窓口で申請することが出来ます。
[ 申請書類 ]
- 申請用紙(様式 SS-5)
- 年齢を証明する書類(パスポートなど)
- 身分を証明する書類(運転免許書など)
- 在留資格を証明する書類(ビザなど)
納税者番号
1996年に導入された納税者番号 (Individual Taxpayer Identification Number) は、在留資格に関係なく米国で税務申告を行う必要のある方に割り当てられる番号で、在留身分上、社会保障番号を申請できない方が取得する番号として位置づけられています。社会保障番号とは違い納税者番号は、内国歳入庁 (Internal Revenue Services) が税務申告の管理を目的として発行するため、社会保障番号保持者に認められている社会保障手当て(老齢、遺族、障害、医療保険)や勤労所得控除 (Earned Income Credit) などの恩恵を受けることは出来ません。
納税者番号は社会保障番号と同じく9桁の番号で構成されていますが、一目で区別がつくように必ず9の数字から始まるように工夫されています。また導入当初は、社会保障番号と似たカードを発行していましたが、近年はカードではなく手紙形式で番号を発行する方法に変更されました。
納税者番号は税務申告を目的として発行されるため、申告の必要がない場合の申請は認められていません。また原則的に社会保障番号と納税者番号の両方を取得することは出来ないため、社会保障番号を申請する資格のある方は、納税者番号を申請することは出来ません。申請書類の提出先は、居住地区に関係なく個人所得税申告書と共に申請書類一式を テキサス州オースティンの内国歳入庁に提出する事が義務付けられています。
[ 申請書類 ]
- 申請用紙(様式 W-7)
- 身分を証明する書類 (パスポートなど)
- 在留資格を証明する書類 (ビザを取得している場合のみ)