異議申し立て

 

税金の種類(所得税、給与税、消費税、動産税、その他)に関わらず納税者には税金を納めるという「義務」と共に納税者としての「権利」も保障されており、理不尽または不当な処遇に対する「異議申し立て」もその権利の一つとして認められています。今月は、固定資産税に対して私が個人的に行使した「権利」について話をしたいと思います。

 
納税者の権利

納税者には税金の納付義務に対し納税者としての権利が定められており、その一つとして不動産の査定額または評価額に対し納得がいかない場合、その内容に対し異議を申し立てる事が出来ます。

 
固定資産税額の算出方法

ご存知の通り固定資産税額は、控除後の評価額に税率を掛け算出されます。

( 評価額 – 控除 ) x 税率 = 固定資産税額

政府関係者が市民を安心させるために「今年は税金を上げていない」とよくコメントをしますが、年々固定資産税が上がっているのを皆さんはお気付きでしょうか。実際にはここ数年税率は横這いで、また地域によっては税率が下がっている所もあるそうですが、ではなぜ税金が上がっているのでしょうか。前述のコメントは実は税率に対する見解で間違ってはいませんが、実際には査定額を調整する事で最終的な税額を操作できる為、必ずしも正しいコメントとは言い切れません。

 
異議申し立ての手順

固定資産税額を大きく左右する査定額に対する異議申し立ては、ある一定期間内に行う必要があり、その期間内に申し立ての手続きを怠ると群から提示された査定額が自動的に確定されるので注意する必要があります。通常、毎年4月下旬頃に管轄の郡から評価額の通達がありますが、不動産の上昇額が $1,000 未満の場合、新しい評価額が通達されない事もありますので郡のサイトから直接その年の評価額を確認する事をお勧め致します。

異議申し立ての申請が一旦受理されると、公聴会の日程が設定され、評価額に対する異論の理由、妥当な評価額およびそれらを裏付ける資料を提出する必要があります。公聴会へは本人または代理人を送る事が可能で、出廷する時間の無い方は、それらの提出資料を郵送またはオンラインから提出する事も認められています。

 
[ 手順 ]
  ①  固定資産の評価額を確認する(4月下旬ごろ)
  ②  評価額に同意できない場合、異議申し立ての手続きを行う(5月31日まで)
  ③  公聴会の日程案内を受ける(6月ごろ)
  ④  評価額に対する資料を提出する(7月ごろ)
  ⑤  最終評価額が確定される

 
提出資料

異議申し立てを行うのは、あくまで査定額を下げてもらう事を目的としているため、自分の家の査定額よりも低い情報を収集し説得材料として提出する必要があります。比較対象となる家の査定額が高いと逆に金額を上げられるリスクがあるので、その様な情報は提出しない様ご注意下さい。十数年前までは、不動産業者でない限りこの様な情報の収集は困難でしたが、今は簡単にオンラインで情報を入手する事が可能ですのであまり心配する必要はありません。

またテキサス州では年間の評価額上昇率の上限が 10% と定められているため、評価額がそれ以上を上回っている場合には、それも説得材料になりますので証拠資料の一部として準備されることをお勧めいたします。

 
[ 主な提出資料 ]

  • 近所に位置する似た様な状態・条件 (年数、敷地面積など)の不動産査定額
  • 近所に位置する似た様な状態 ・条件の買値
  • 家屋への損傷、劣化等の証拠写真または修繕費の見積り
  • 売買契約書のコピー
  • 上記10%ルールを違反している証拠

 
冒頭の話に戻りますが、私の場合、ダラス郡査定事務所 (Dallas County Appraisal District Office) に出向き公聴会で自分の言い分を主張する事にしました。もちろん公聴会に出席するのは初めての経験でかなり緊張はしたものの、審査官3名と記録係1名の計4名を相手に準備した資料を基にダラス市からの評価額マイナス 12%が妥当な評価額と提案したところ、すんなり提示額が受け入られ嬉しいと同時にあまりに簡単に主張が受け入れられ少々拍子抜けな感じもしました。いろは読者の皆様も来年評価額が高いと思われたら、異議申し立てをしてみては如何でしょうか。

 

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