支給額据え置き

 

先月、社会保障給付金(日本の国民年金にあたる給付金)を受給されている方々にとってあまり好ましくない政府発表がありました。社会保障事務局 (Social Security Office) が「2016年度の給付額に変動は無く据え置きになる」と発表を行ったのです。まだ受給を開始されていない方はピンと来ないかもしれませんが、直接影響を受ける受給者の方々にとっては死活問題にもなりかねない重大発表だと思われます。何れにせよ、アメリカで生活されている方は何らかの形で影響を受けると思われますので、今月はその発表内容に対して考察をしたいと思います。

 
発表内容

冒頭の通り、社会保障給付金(障害者手当て、生活保護補足給付金、高齢医療保険、遺族年金を含む)の2016年度給付額は変動されず据え置きになると先月発表されました。社会保障事務局によると現在給付金を受給されているアメリカ国民の数は約 6,500万人にのぼり、受給額が調整されず据え置きになるのは消費者物価指数が導入された過去40年間で3度目になるそうです。受給額が据え置きになった理由は、調整参考基準である消費者物価指数 (Consumer Price Index) がここ数年下がっているのが主な理由だそうです。

 
消費者物価指数

消費者物価指数は、労働統計局 (Bureau of Labor Statistics) が衣料費、食費、住宅費、交通費、光熱費、医療費、教育費などを参考に試算しており、社会保障事務局が給付金の調整額を参考にする指数 COLA (Cost of Living Adjustment) の測定基準として採用する事が法律で定められています。COLAは、インフレーションの影響で受給者の購買力が損なわれないように消費者物価指数にあわせて給付金額を調整する事を目的に1975年に導入されました。COLAが採用される以前までは、受給額の変動は毎回国会の承認をもって決定される必要がありました。

社会保障事務局の統計によると、過去40年間の平均調整率は3.88%となっており、調整率が最も上昇した年は1980年の14.3%となっており、調整率が最も低かった年は(据え置き年度を除く)1987年と1999年の 1.3% となっています。過去3年間の調整率は、2013年が1.7%、2014年が1.5%、2015年が1.7%となっており、調整率が据え置きになったのは年は2010年、2011年と2016年の3回のみとなっています。

据え置きの主な理由

前述の通り消費者物価指数を算出する要素は幅広く採用されていますが、今回の調整率の据え置きは原油価格の下落が主な理由となっているようです。確かに原油価格はいろいろな面で直接また間接的に物価に影響を及ぼしますが、現在の測定基準は年金受給者の生活習慣を反映していないため、不適切だとある専門家は指摘しています。

 
専門家の指摘

現在の測定基準は、勤労者の消費者物価指数を参考としているため、定年退職されている方々の消費行動とは異なり参考資料として適切ではないと指摘しています。毎日通勤をする必要の無い定年者の方は、現役の方に比べあまりガソリンを消費する事は無く、また医療費に関しては、逆に若年層の方に比べ医者や病院を利用する頻度が必然的に多くなるとも指摘しています。

統計によると定年者の一ヶ月の受給額は平均約 $1,300 となっているようですが、2015年度の調整率が1.7%だと考えると、今年の追加額はたったの $22 の計算になります。またある統計によると、物価指数にあわせて受給額の調整率が上がっているにも関わらず、実際の購買力は2000年に比べ約 22% も下がっているとのことです。

読者の皆様も既にお気付きだと思われますが、ここ最近乳酸品の価格が少しずつ高騰しているように見受けられます。今年西海岸で起こった例年にない大干ばつが原因だと思われますが、物価指数を算出するにあたり、適切な情報が採用されているのか少し疑問を感じせざる終えません。

 

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