パワーボールに当たったら

 

先月、賞金額が約15億ドルまで膨れ上がったパワーボール(アメリカの高額宝くじ)の当選番号が発表されましたが、金額が史上最高を記録したため注目と熱気で巷を騒がせたのは記憶に新しいのではないでしょうか。今月は宝くじに関連する話をしたいと思います。

 
パワーボール

パワーボールとは、一攫千金を夢見る市民に親しまれているアメリカの高額宝くじで、現在ネバダ、ミシシッピー、アラバマ、ユタ、アラスカとハワイの 6州を除く 44州、ワシントンDC、プエルトリコとバージン諸島が収益の一部を政府財源として活用する事を目的として参加しています。

テキサス州は、パワーボールを含むその他の宝くじから集めた資金の 27%を教育費、5.5%を小売業管理委員、4.0%をテキサス宝くじ運営費、0.4%を退役軍人援助金として活用し、残り 63.1%を賞金として分配しています。

 
賞金配当と税金

天文学的に低い確率にも関わらず見事当選した方がまず先に決めなければいけない事はどのように配当を受けるかという点でしょう。配当方法には「一括払い」と「30年の分割払い」の 2通りがあり、分割払いを選択した場合、賞金全額が保証されますが、一括払いを選択した場合、62%しか払い戻されません。今回のケースですと一括払いを選択した場合、払い戻される金額は賞金 15億ドルの 62%、つまり 9.3億ドルに減額されたということになります。

その後、受け取った賞金をどのように活用するかという嬉しい問題に悩まされますが、その前に政府当局が分け前分を税金として徴収します。税法規定により 5,000ドル以上の賞金に当たった場合、自動的に 25パーセントの税金が源泉徴収される仕組みになっています。また当選者が外国人または非居住者の場合、税率は 30%に引き上げられます。

また翌年、個人所得税を申告する際に、課税所得に対し最高税率が 39.6% のため源泉徴収税率 25%の差額 14.6%を追加徴税として納付する可能性があります。(2015年現在)宝くじの賞金配当に対する税金納付は連邦政府にとどまらず、当選者の居住州により更に膨れ上がる場合もあります。

 
州別の違い

現在パワーボールに参加している 44州のうち個人所得税を設けていないフロリダ、サウスダコタ、ワシントン、ワイオミング、そしてテキサス州居住の当選者は、連邦所得税を払えばそれ以上の納付義務はありません。また個人所得税は設けてはいるが、宝くじの賞金配当に対し課税をしないカリフォルニア、デラウエア、ニューハンプシャー、ペンシルバニアとテネシー州居住の当選者も各州で税金を納める必要が無いため、税金の納付は連邦政府のみとなります。

宝くじの配当金受取に有利な前述の 10州に対し逆に最も厳しい州はニューヨーク州となっており、ニューヨーク市内在住の場合、州税に加えさらに市税も徴収されるため配当金の手取り金額が最も低いケースになります。

例えばパワーボール当選者がニューヨーク市在住だった場合、39.6%の連邦税に加え 8.82%の州税が課税され、更に 3.876%の市税が課税されるため、一括払いの賞金配当額 9.3億ドルに対し計約 52.3%が税金として徴収され、実際に手元に残る金額は約 4.4億ドルに減ってしまいます。(税金内訳、連邦税3.68億ドル、州税8,200万ドル、市税3,600万ドル)

 
[ おさらい ]

  • 一括払いを選択した場合、配当金は 62%に減額
  • その後、税法規定により自動的に 25% 源泉徴収され(非居住者または外国人の場合は 30%)
  • 所得税を申告する際に、更に6% の税金を連邦政府に支払い (最高税率 39.6% と 25% の差額)
  • 更に居住州により州所得税を納める場合もある

 
ちなみに今回、2.92億分の1という気の遠くなるような確率に当選された強運の持ち主は3人いたそうですが、偶然にも個人所得税の無いフロリダ州、または宝くじに課税をしないカリフォルニア州、テネシー州在住の方だそうです。もちろん賞金 15億ドルを 5.28億ドル(税前金額)ずつ 3等分する必要がありますが、それでも羨ましい限りです。

 

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