先日、友人から電話があり「IRSから電話口で追加徴税を請求されたが、本当にこのような対応をしてくるのか」という質問を受けました。状況から私は直ぐに詐欺だと気が付きましたが、その友人は念のために私に相談をしてきたのでした。職業柄、IRSがどのような手段でコンタクトをしてくるか理解をしている私には直ぐに見抜けますが、日頃IRSとやり取りを行っていない方はそれが本当か詐欺なのかを判断する事が難しいと思います。今月は、詐欺の手口またそれを簡単に見破る方法について話をしたいと思います。
詐欺の手口
詐欺の手口も年々巧妙になり、IRSになりすまし金銭をだまし取ったり個人情報を盗み出そうといろいろ手段を変えているようです。近年特に増えている手法が電話と電子メールによる詐欺行為で、なかにはIRSのロゴや類似したウエブサイト、また改ざんしたコールIDなど使用による詐欺被害に遭う納税者が増えているそうです。
電話詐欺の場合、共通して次の内容で会話を進めるそうです。
- 過去の申告に対して支払い不足が発生している
- 不足分を直ぐに支払えば懲罰は免除する
- 支払はプリペイドカードなどを使い行うように
- 支払を断った場合、警察または移民局職員に逮捕される
IRS以外の団体を名乗るケースもあり、その殆どの場合慈善団体を装い還付金の一部または全額を寄付するよう催促する手口も増えているようです。またこのような詐欺行為は申告期間中に集中して頻繁に発生しているようですので、2月から4月の間は特に注意するよう心がけてください。
詐欺を見破る方法
詐欺を見抜く一番手っ取り早い方法は、IRSがどのような手段で連絡をしてくるかを理解する事でしょう。通常、IRSが連絡を行う時は書面での通知に限り、電話や電子メールで連絡をする事は一切ありません。
[ IRSの初期連絡手段 ]
- IRSは電話で連絡をする事はありません
- IRSは電子メールで連絡をする事はありません
- IRSはファックスで連絡をする事はありません
- IRSはテキストメッセージで連絡をする事はありません
- IRSは必ず通知で初期連絡を行います
またどのケースに対してもIRSはまず最初に異議を唱える機会を必ず納税者に与えます。そのため次の行動を取ることは絶対にありませんので、念頭に入れるようにして下さい。
[ IRSが絶対とらない行動 ]
- IRSは電話口で即金での支払いを要求する事はありません
- IRSは支払いをプリペイドカード、マネーオーダーまたは電子送金で要求する事はありません
- IRSはクレジットカードや銀行口座情報を問う事はありません
- IRSは警察官またその他の司法取締機関の職員を送る事はありません
通知を受け取った場合
IRSから通知を受け取ったがその内容に対し不審に思う場合は、個人所得税のホットライン番号 1-800-829-1040 に電話をかけその通知が本物かどうか確認をする事が出来ます。また各通知に対し通常 CP または LTR から始まるケース番号が割り当てられますので、このリンク先から通達の理由および信憑性を確認する事が出来ます。
財務省によると今年の1月時点で詐欺ホットラインに約90万件の相談があり、IRSが把握しているだけでも5千人以上の方が金銭的な被害を受け、その被害総額は26億ドルにも上るそうです。幸い冒頭で話しましたその友人は、会話の流れから様子がおかしい事に気づき、詐欺被害を未然に防ぐことが事が出来たそうです。読者の皆様もくれぐれも詐欺にはご注意ください。