インターネットの普及が人々の生活習慣やビジネス環境を大きく変えた事は皆さん実感されていると思われます。あらゆる情報の入手が容易になり、世界との距離感が断然身近なものになりました。情報技術が進化する事で時代遅れになったビジネスモデルは廃れ、また新たに生まれたビジネスなどもあります。今月は、新たなビジネスモデルと税金にまつわる話をしたいと思います。
シェアリング・エコノミー
日本総務省によれば「シェアリング・エコノミーとは、典型的には個人が保有する遊休資産の貸出しを仲介するサービス(以下省略)」と定義されています。もっと砕いた言い方をすれば、「遊んでいる資産や時間を有効活用するビジネスモデル」と私は解釈しています。資金面などの理由により今まではごく一部の人達のみに限られていたビジネス活動が、インターネットを利用する事ことで誰でも参加する事が可能となりました。シェアリング・エコノミーの代表各として挙げられるのが、皆さんもご存知の配車アプリを活用したウーバー (Uber) でしょう。
ウーバーと並び近年急成長を遂げているのが宿泊施設予約サービスを提供するエアービーアンドビー (Airbnb) で、宿泊施設提供者の登録数も年々増えているようです。Airbnb の利用者は低コストで宿泊すると同時に現地の人々の生活環境を体験でき、施設を貸し出す側は住宅や別荘等の未使用スペースを有効活用する事で小遣いを稼ぐなど両者共にメリットのあるビジネスモデルとして知られています。施設提供者として気を付けて頂きたいのが、これらビジネスモデルを利用する事で得た家賃収入に対する税金の納付および申告義務の取り扱いです。
15 日ルール
まず最初に判断すべきことは賃貸収入に対する申告義務の有無となります。
(投資物件は異なる税法が適用されるため、ここでは個人使用目的で購入された住宅または別荘などに限定する。)
[ 判断テスト ]
① 住宅の判断
まず賃貸に提供した居住施設が「住宅」として取り扱われるかの判断を行う必要があります。年間を通して (a) 14日または (b) 賃貸に提供した日数の10% の何れか多い日数よりも個人で使用した期間が長い場合、居住施設は「住宅」として扱われます。例えば、1年のうち200日間を賃貸として提供した場合、年間20日以上個人使用をすればその住宅施設は「住宅」として取り扱われます。(個人使用した日数が、住宅判断テストの日数 [ 200日の10% = 20日] よりも多いため。)
② 賃貸日数
「住宅」判断の次は賃貸日数の確認となります。住宅として取り扱われる居住施設を賃貸した場合、賃貸した日数が15日以下であれば賃貸収入を申告する必要がありません。ただし、収入を申告する必要が無いので、賃貸に付随する費用も控除する事ができません。
居住施設が住宅として取り扱われ、且つ15日以上その居住施設を賃貸した場合、賃貸収入を所得として申告する必要がありますが、付随する直接経費(光熱費、修繕費、清掃代)また諸間接経費(固定資産税、住宅ローン支払利子、管理費、保険料など)を実際に賃貸した日数の割合で費用計上する事が認められています。
記録管理の重要性
賃貸収入の申告義務は前述の条件によってそれぞれ対応が異なるので、居住施設に対する使用日数の確認と賃貸に関連する経費の把握が重要であることは言うまでもありません。また家主として Airbnb などのサービスを利用した場合、前述のテストに関係無く全ての賃貸収入が IRS へ報告されますので、得た賃貸収入が課税の対象であるか否かを証明するためにも記録の管理は重要と言えるでしょう。
2011年にスーパーボウルがダラスで開催された時に近隣の在住者がかなりの高額で週末家を貸し出したという話をふと思い出しました。この様な特別なイベントであったり、また夏に長期で日本へ帰国する際に Airbnb のようなサービスを活用し遊休資産を上手に運用しても良いかもしれませんね。