税制改革(その2:法人所得税)

 

先月は個人所得税に関する税制改定内容を紹介しましたので、今月は法人所得税に関する改定内容を紹介したいと思います。

 
税率

改定以前の税率は、累進課税(課税所得の金額によって税率が変動するシステム)と呼ばれる7段階の課税方法が採用されていましたが、税制改革により税率が一律21%に変更されました。撤廃された累進課税の一番上の段階の税率が 35% だったため、改定により14%の節税効果を得られる会社もあるでしょう。また同時に「代替ミニマム税」と呼ばれる優遇措置等により実効税率が低くなる納税者に対し課税されていた税金も撤廃されました。

税率の軽減また代替ミニマム税撤廃により収益増加を見込んだ企業が従業員に対して特別ボーナスを支給したニュースも記憶に新しいことでしょう。

 
減価償却

税法上の減価償却は主にMACRS (Modified Accelerated Cost Recovery System) と呼ばれる通常の償却の他に設備投資推進を目的として導入されたボーナス償却 (Section 168) があります。恒久的なMACRS償却に対しボーナス償却は、あくまでも一時的な措置として導入されたため、課税年度によって償却の限度額が変動したり、有効期限を数年おきに延長する措置が取られていました。しかし今回の税制改革により今までは一時的な措置であったボーナス償却が恒久化され、償却限度額も大幅に増加されました。

2017年のボーナス償却額は上限が固定資産投資額の50%に制限されていましたが、改定により限度額の上限が100%(2022年まで)、80%(2023年)、60%(2024年)、40%(2025年)、20%(2026年以降)と変更されました。また改定以前は対象となる購入品が新品のみに限定されていましたが、2018年以降は中古品もボーナス償却の対象となりました。

 
即時費用化ルール

前述のボーナス償却同様、設備投資の推進を目的とする即時費用化ルール (Section 179) も税制改革により変更が行われました。改定前の費用計上限度額は50万ドルと規定されていましたが、税制改革により上限が2倍の100万ドルに増額されました。税制改革後、設備投資に有利な税務環境が整備されたことにより、来る数年間はより大きな経済効果が期待されているのも理解できるでしょう。

 
繰越欠損金

当該年度において営業利益が純損失となった場合、利益を出した年度と相殺する事が認められています。ただし相殺が可能な課税年度の範囲が「過去2年繰り戻し」と「繰り越し20年」と制限されていました。そのため、欠損金を利用できないまま消失せざる終えないケースもあったと思われます。

例えば、2000年の純損失額が ▲$500,000 と仮定した場合、2年間繰り戻して1999年度または1998年度の利益と相殺することで各年度の税金負担を軽減することが出来ます。あるいは2000年に計上した純損失額を20年間繰り越すことにより、利益を出した年度と相殺する事で税負担を軽減することが出来ます。ただし、数10年間も利益が出ないままだと相殺が出来ないため、2000年に計上した欠損金は利用できないまま2021年に消失する事になります。

税制改革により欠損金に対する繰越期間制限が撤廃され、会社が存命する間は永久に繰越できるようになりました。だたし、欠損金の繰り戻しも同時に撤廃され、各年度で相殺できる上限もその当該年度課税所得額の80%に制限されました。

 

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