不動産(その4:売却時の注意事項)

 

不動産にまつわる税務事項としてこれまで不動産に対する投資手段、購入および維持に関する注意事項について話をしましたが、今月は不動産売却時の税務事項を外国人(米国非居住者または外国法人)の観点から検証したいと思います。

 
外国人による資産売却規制
米国非居住者または外国法人が米国内の不動産を売却する場合、FIRPTA (Foreign Investment in Real Property Tax Act) という特別な源泉徴収の対象になります。FIRPTAは米国非居住者または外国法人が売却益に対して確実に申告を行うために設定された税法のため、米国居住者または米国法人には適用されません。ここで指す「売却」とは、対象となる不動産に対し所有権を失うあらゆる行為を意味し、不動産の物々交換、処分、清算、贈与、譲渡なども対象となります。

 
【FIRPTAの概要】

  • 非居住者または外国法人が対象(売却の場合のみ)
  • 米国内の不動産(または不動産保有法人の株)が売却された時に適用
  • 売買価格に対して源泉徴収が行われる
  • 税金の源泉と納付は購入者(またEscrow会社)が義務を負う
  • 源泉税率
    • 15%(購入者が購入不動産に居住しない場合)
    • 10%(売買価格 $100万以下で、かつ購入者が居住する場合)
  • 源泉対象価格(売買価格)
    • 物件価格 (Principal only)
    • 市場価格(物々交換、贈与、譲渡の場合)
    • 引き受け債務額

 
源泉義務
FIRPTAに関連する源泉徴収また納付義務は、不動産を購入する側が責任を負うため、不動産の所有者が外国人(または外国法人)かどうかの確認を行う事が重要となります。もし仮に適切な源泉徴収を怠った場合、購入側が相当額の納付義務を負うため細心の注意を払う必要があります。

 
【購入者の義務】(またはEscrow会社)

  • 売却側が非居住者または外国法人かを確認する事
  • 売却側が非居住者または外国法人の場合、売買価格に対して源泉徴収する事
  • 徴収した税金を申告書と共に20日以内に納付する事
  • 徴収および納付義務を怠ると購入者に対して罰則金が課せられる

 

源泉免除
基本的に売却側が外国人の場合、購入側が適切な源泉徴収を行う必要がありますが、次の条件を満たす場合には源泉を行う必要はありません。

 
【源泉免除規定】

  • 売却側が非居住者または外国人でない場合
  • 売却価格が $300,000 以下で、かつ購入者が自分の居住目的で購入する場合
  • 売却側がIRS発行の源泉証明書 (Withholding Certificate) を提示した場合

 
源泉証明(Withholding Certificate)
売却側の外国人が源泉徴収免除を受けるためには様式8288-Bを事前に提出し、IRSから源泉徴収免許可証を入手する必要があります。明らかに売却損が出る場合、事前に源泉税免除申請(Form 8288-B)を提出する事で源泉徴収を回避することが出来るため、必要に応じて提出する事が望ましいでしょう。

源泉証明(Withholding certificate)の発行は時間がかかりますので、源泉を回避したい場合には早めに手続きを進める事をお勧めします。また申請内容により源泉の免除を受けられない場合もあるのでご留意ください。

 

コメントは受け付けていません。