不動産(その5:税務申告)

 

これまで4回にわたり不動産投資の各段階における税務事項の検証を行ってきましたが、今月はその総括として不動産投資の税務申告について話をしたいと思います。今回は直接投資を行った外国人(米国非居住者または外国法人)が、ネット課税方式を選択したと仮定し話を進めさせて頂きますのでご了承ください。

 
損金算入費用
ネット課税方式(または申告課税方式)を選択した場合、管理費、固定資産税、修繕費、保険料、支払利子などの直接経費を損金として算入することが出来ます。また実際に金銭的には発生していない減価償却費などの間接費用も損金算入する事が認められています。

減価償却費用は定額法(Straight-Line)を用いて、新築・中古物件、建物の構造(木造、鉄骨等)に関係なく耐用年数が居住用物件は 27.5年、商業用物件は 39年として計算されます。

 
税務申告
投資物件から得られる収入は所得と見なされるため、連邦と州政府に対して所得税の申告を行う必要があります。テキサス州は所得税を課税しておりませんので、テキサス州内のみで投資をされている方は、連邦税を申告する事で申告作業が完結する事になります。申告期日と申告様式は、個人または法人として投資を行っている場合でそれぞれ異なります。

個人として投資を行っている場合、カレンダーイヤー(12月決算)が自動的に適用されますので、申告期日は当該年度翌年の6月15日が申告期日となります。申告様式は、個人非居住者用の様式 1040NRで申告を行います。納税者番号を取得していない場合、所得税の申告書と共に納税者番号申請(様式 W-7)を提出する事で同時に処理を行ってもらう事が可能です。

法人として投資を行っている場合、法人の会計年度末から数えて5ヵ月と15日目が申告期日となります。例えば3月決算の日本法人の場合、9月15日が申告期日となります。申告様式は、法人非居住者用の様式 1120Fで申告を行います。法人の場合、事前に納税者番号を入手する必要がありますので、ネット課税方式を選択した時点で様式 SS-4 を提出して法人用の納税者番号申請を行う事をお勧めいたします。

個人、法人共に申告書に賃貸収入が記載された収入報告書 1042-S (Copy C) を添付する必要があります。また申告初年度に限りネット課税選択の宣誓書も添付する必要があります。年間を通して純利益になると予想される場合には、適度な予定納税を納め必要がありますのでご注意ください。

 
その他の留意事項
不動産 (Real Property) または動産 (Personal Property) を所有するのみではビジネス活動を行っているとはみなされないため、テキサス州に対しで事業登録を行う必要はありません。法人が不動産を所有する事でネクサス(事業関連性)が発生しますが、テキサス州内で直接営利活動を行わない場合、”Taxable Entity” として取り扱われないためテキサス州フランチャイズ税を申告する必要はありません。またテキサス州では不動産の売買および賃貸収入は売上税 (Sales Tax) の対象となりません。

以上、5回にわたり不動産における注意事項を税務の観点から紹介をさせて頂きましたが、それら情報がいろは読者の皆様のお役に立てれば幸いです。引き続き来年以降も興味深いトピック、および時事ネタなどを取り上げたいと思います。

それでは皆様、良いお年をお過ごしください。

 

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