税制改定による恩恵

 

2017年の暮れに法制化された税制改定の実質的な処理がいよいよ開始されます。税率の軽減に始まり、各控除額の増額、新な控除もあれば撤廃された控除などもあり、その恩恵を実感される事と思われます。今月は税制改定の恩恵を間接的に受けることが出来る改定事項を紹介したいと思います。

 
ご存知のとおり税法は、全ての納税者が順守すべきルールとなっており、また皆が同じルールを守る事で公平が保たれます。しかし、規模や所得額に関係無くむやみやたらに同じルールを押し付ける事で不公平が生じる矛盾した側面もあります。そこで規模や所得額に応じて大中小の納税者間でなるべく公平が保たれるよう対策が行われています。累進課税(所得額により税率が変動するシステム)がその代表的な例として挙げられるでしょう。公平を保つ対策の一つである「中小企業の規定」も今回の税制改定により大きく変更されました。

 
中小企業の規定 (Small Business)

税法上、中小企業の判断は売上額を基準によって定められています。従来は過去3年間の平均売上額が 500万ドル未満の納税者を中小企業として位置付けていましたが、改定により基準となる平均売上額が2,500万ドル未満まで引き上げられました。活動期間が3年以下の場合、活動期間中の平均売上額をもって判断が行われます。税法上、中小企業として取り扱われる事で次の恩恵を受ける事が出来ます。

 
[ 税法上の恩恵 ]

  • 会計処理法

会計処理法は、大まかに分けて現金の収支に基づいて記帳を行う現金主義会計 (Cash Method) と現金の動きに関係無く経済的事実に基づいて記帳を行う発生主義会計 (Accrual Method) の二通りがあります。現金主義会計は実際の経済活動を反映した期間損益計算が行えないため、法人での採用は一般的には認められていません。ただし中小企業として取り扱われる場合、法人でも現金主義会計を採用する事が認められています。その為、発生主義会計から現金主義会計へ処理法を切り替える事で、入金が完了するまで売上認識を繰延する事ができ、結果的に所得に対する課税を延ばす事が可能となります。

  • 棚卸資産管理

通常、棚卸資産を保有している企業は、期末在庫の確認作業を行い売上原価を算出します。中小企業として取り扱われる場合、棚卸資産を消耗品または非雑材料として管理する事が出来るため、在庫の確認作業を省く事が可能となります。

  • 統一資本化ルール (UNICAP)

販管費用などの間接費を棚卸資産の一部として計上を義務付ける統一資本化ルールは、計算が複雑で且つ粗利に直接影響を与えるため、棚卸資産を持つ企業にとって頭を悩ます要因となります。中小企業として取り扱われる場合、統一資本化ルールの免除を受ける事が出来ます。また改定前は免除対象者が再販業者に限られていましたが、改定後は製造業者も免除の対象となるため幅広く多くの納税者が恩恵を受ける事でしょう。

  • 工事進行基準

建設業など長期間を要する事業契約を結んでいる場合、工事の進行状況に応じた収益認識を行う事が義務付けられています。その為、現金主義会計または工事完成基準(完成時に収益認識を行う処理法)と比べ売上認識が前倒しとなり、結果的に所得に対する課税が早まる事になります。中小企業として取り扱われる場合、長期間の契約でも工事進行基準採用の免除を受けられるため、課税所得を繰延する事が可能となります。

  • 支払利子損金

2018年度申告分から支払利子の損金上限額が課税所得の30%へ改定されました。その為、課税所得が少ないまたは純損失の年度は、支払利子を満額損金算入できない可能性があります。中小企業として取り扱われる場合、自動的に支払利子損金ルールの免除を受けられるため、課税所得の金額に関係無く支払利子を全額損金算入する事が可能となります。

 
以上のように、中小企業として取り扱われる事で諸税法が免除され、税金の繰延や作業の簡素化を図る事が出来ます。今回の規定緩和により、多くの企業また納税者が中小企業として該当し、その恩恵を受けられる事でしょう。

 

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