ここ数週間、テキサス州を含むアメリカ中西部で洪水、竜巻、強風などが原因による甚大な被害が多発しています。生活の基盤となるインフラが機能不全に陥り死者も出す事態となりました。今回の事態を受けバイデン大統領が災害宣言を行い、該当地域は FEMA (Federal Emergency Management Agency) の災害指定により救済支援を受ける事が可能になりました。今月は、自然災害の救済情報に関連する事項について紹介をさせて頂きます。
災害地域の確認と救済申請
5月末時点で、テキサス州全254郡のうちFEMAの災害指定 (災害コード:DR-4781-TX) を受けている地域は近隣のコリン郡、デントン郡を含む22郡にとどまっていますが、アボット州知事は、ダラス郡を含む10郡を災害指定地域の対象として追加するようFEMAに要請しています。FEMAに災害地域として認定された地区住民は、補助金(仮設住宅、修繕費、財産損失、司法サービス、失業扶助、医療補助、葬儀費用)を受ける事が出来ますので、ご自身の居住地が災害地域として指定されているか確認する事をお勧めします。
災害指定地域は、次のリンク先で都市名または郵便番号を入力する事で確認する事ができます。
災害地域に認定されている地区に居住の方および事業を行っている方は、検索結果画面に表示される申請ボタンをクリックして損害に対する救済申請を行う事が出来ます。申請後、前述のリンク先から手続きの状況やその他の救済情報などを確認する事が出来ますので、頻繁にチェックすると良いでしょう。
申告期日の自動延長(連邦)
法人および個人の連邦所得税の申告期日が11月1日まで自動延長されました。延長は納付にも適用され、FEMAの災害指定地区に指定された22郡の居住者、事業主および訪問中に今回の災害により死亡また負傷された納税者が対象となります。延長は所得税のみならず以下の申告および納付期日にも適用され、ますが、情報申告(1099, 1042-S, 8027) には適用されませんのでご注意ください。
【その他の延長対象事項】
- 第2、3四半期予定納税(通常6月17日、9月16日)
- 第1、2、3四半期給与税申告・納付(通常4月30日、7月31日、10月31日)
【災害損失の控除】
災害損失の控除を受けるためには連邦政府によって災害地認定を受ける事が必須条件となります。災害損失控除は家屋、家財道具や自動車などが対象となり、保険で補填されない分を控除する事が出来ます。損失額が当該年度の課税所得額を超えた場合、超過分は欠損金 (Net Operating Loss) として翌年度に繰り越し利用する事が可能です。災害損失控除の申請は、損失が発生した年度(この場合2024年度申告)または前年度(この場合2023年度申告)の何れかの申告で申請をする事が認められています。2023年度の申告を既に終えている方は、修正申告をする事で災害控除を追加する事が出来ます。災害控除を申請する方は、災害損失控除申請書 (Form 4684) にFEMA災害宣言番号 4781-DR を記入する必要があります。
【その他の控除】
受給された救済金は、課税所得の対象外となりますので、所得税を申告する際に同額を除外する事が認められています。また、企業年金積立(401k等)や、個人年金積立 (IRA) から生活困難を利用で引き出した積立金に対して通常徴収される10% の早期出金ペナルティーが特別に免除されますので、金銭的に困っている方は、積立金から一部資金を得る事も考えられます。出金された場合、老後の貯えが減る事になりますが、金融機関から資金を借りた場合、借入金に対して利息が加算されますので、積立金を利用された方が総合的に考えて金銭的負担を軽減できるでしょう。
申告期日の延長(テキサス州)
連邦政府の対応に足並みを揃えるべくテキサス州もフランチャイズ税の申告期日の延長措置を発表しましたが、連邦税とは異なり自動延長は行われません。その為、延長申請を行いたい納税者は、次の必須情報(名前、納税者番号、電話番号、税金の種類、対象期間)を ExtensionRequests@cpa.texas.gov 宛に連絡する必要があります。延長申請の手続きで助けが必要な方は、ホットライン番号 800-252-5555 をご利用ください。
防災グッズ売上税の免税期間
毎年4月の最終週末に防災グッズを対象とした売上税 (Sales Tax) の免除措置が行われています。2024年度の免除期間(4月27日~29日)は既に終了しましたが、来年も同時期に免除期間が設けられますので、この機会を利用して防災グッズを準備する事をお勧めいたします。以下が主な免税対象項目と対象外項目となります。(詳細はこちら)
【免税対象項目】
バッテリー、煙探知機、一酸化炭素探知機、クーラーボックス、保冷剤、消火器、救急箱、燃料入ボトル、固定器具、照明器具(ろうそく、懐中電灯、ランタンなど)、充電器具、ラジオ、斧、缶切り(非電動式に限る)、防水用シート、保冷剤、非常はしご、防災シャッター($300以下に限る)、発電機($3,000以下に限る)
【免税対象外項目】
マスク、手袋、トイレットペーパー、洗浄剤、キャンプ器具、チェーンソー、ベニヤ板、通常のはしご、テント、自動車などのバッテリー
今回紹介した情報が、何らかの形で被災者の方々のお役に立てれば幸いです。被災された方々の生活が一日でも早く平常に戻ることを心よりお祈り申し上げます。