納税者の義務である所得税の申告を終えホッと一息つかれている頃だと思われます。追加で所得税を納付された方もいれば、還付金をどの様に使おうかと嬉しい悲鳴を上げている読者の方もいらっしゃることでしょう。この時期に同時に多発するのが還付金目当ての詐欺。日頃からIRSとやり取りを行っている方なら詐欺を見抜く事はそれ程難しくありませんが、そうで無い方はさぞ不安に駆られる事でしょう。今月は読者の皆様、そのご家族や友人の方が詐欺被害に遭わないよう詐欺の手口またそれを簡単に見抜く方法について話をしたいと思います。
詐欺の手口
詐欺の手口も年々巧妙になり、IRSになりすまし金銭をだまし取ったり個人情報を盗み出そうといろいろ手段を変えているようです。近年特に増えている手法が電話と電子メールによる詐欺行為で、なかにはIRSのロゴや類似したウエブサイト、また改ざんしたコールIDを使用した詐欺被害に遭う納税者が増えているそうです。殆どのケースで政府関係者に成りすました手口が多く、連邦取引委員会 (Federal Trade Commission) よると2024年申告の詐欺被害総額は 12億5000万ドルにも上るそうです。(前年度比較25%増加)
電話詐欺の場合、共通して次の内容で会話を進めるそうです。
- 過去の申告に対して支払い不足が発生していると説明する
- 不足分を直ぐに支払えば懲罰は免除する
- 支払はプリペイドカードなどで行うように催促する
- 支払を断った場合、警察または移民局職員に逮捕されると脅迫する
詐欺を見抜く方法
詐欺を見抜く一番手っ取り早い方法は、IRSがどのような手段で接触をしてくるかを理解する事でしょう。通常、IRSが初期接触を行う時は書面での通知を行い、電話や電子メールで連絡をする事は一切ありません。
IRS職員と直接面談を行う場合、IRS担当者は Pocket Commission と呼ばれる顔写真付きの身分証明と連邦職員証明書であるHSPD-12 カード (Homeland Security Presidential Directive 12) の両方を提示する事が義務付けられています。また希望者に対して本人照合のための専用電話番号も提示する必要がありますので、その点も留意すると良いでしょう。
【IRSの初期接触手段】
IRSは必ず通知(USPS配達)で初期接触を行い、次の手段で連絡を取る事はありません。
- IRSは電話で連絡をする事はありません
- IRSは電子メールで連絡をする事はありません
- IRSはファックスで連絡をする事はありません
- IRSはテキストメッセージで連絡をする事はありません
- IRSソーシャルメディアを通じて連絡をする事はありません
またどのケースに対してもIRSはまず最初に異議を唱える機会を必ず納税者に与えます。そのため次の行動を取ることは絶対にありませんので、念頭に入れるようにして下さい。
【IRSが絶対とらない行動】
- IRSは電話口で即金での支払いを要求する事はありません
- IRSは支払いをギフトカード、プリペイドカード、電子送金で要求する事はありません
- IRSはクレジットカードや銀行口座などの個人情報を問い合わせる事はありません
- IRSは移民局、警察またその他司法取締機関の職員を送る事はありません
- IRAは逮捕、拘置または強制送還などを理由に脅す事はありません
- IRSは運転免許証、在留資格、またその他ライセンス等を取り消す事は出来ません
IRSから通知を受け取った場合
IRSから通知を受け取ったがその内容に対し不審に思う場合、個人所得税のホットライン番号 1-800-829-1040 に電話をかけその通知が本物かどうか確認をする事が出来ます。また通常、各通知の右上部分にCPまたはLTRから始まる通知理由を示すコード番号が割り当てられますので、次のリンク先からコード番号を検索する事で通知の理由および信憑性を確認する事が出来ます。
(例:CP161は未納額があり支払いを催促する通知)
IRSを装った詐欺と思われる電子メールを受け取った場合、そのメールを phishing@irs.gov に転送する事で詐欺撲滅活動に協力する事が出来ます。近年IRS以外の団体を名乗るケースもあり、慈善団体を装い還付金の一部または全額を寄付するよう催促する手口も増えているようです。またこのような詐欺行為は申告期間中に集中して頻繁に発生しているようですので、毎年2月から4月の間は特に注意をするよう心がけてください。