住民投票

11月 1, 2025

11月4日にテキサス州では州憲法改正を巡る 17件の提案(憲法改正案) が住民投票にかけられます。同投票は、私達の生活に大きな影響を及ぼす法案も含まれていますので今月は概要と租税に影響を及ぼす法案について話をしたいと思います。

制度構造

テキサス州議会では、憲法改正案を通過して初めて住民投票に付される仕組みになっています。具体的には、州議会上下院でそれぞれで3分の2以上の賛成を得た共同決議案が、改正法案として提出され、11月の住民投票で是非が問われます。

投票の概要

今回の投票では次の17法案が有権者の是非に問われ、多数票で法案が成立または否決される仕組みとなっています。17件の法案のうち半数以上が税金、免除規定、固定資産税に関わる法案となっており、投票の結果によって私達の支出に大きな影響を及ぼすことが予想されます。

提案番号法案内容
住民投票提案 1 (SJR 59)州立職業技術大学制度の基金創設
住民投票提案 2 (SJR 18)キャピタルゲイン税を禁止する憲法改正案
住民投票提案 3 (SJR 5)特定重大犯罪被告に対し、保釈を否認できる制度の明記
住民投票提案 4 (HJR 7)州の売上税収の一部を「州水インフラ基金」に充当できる事を認める法案
住民投票提案 5 (HJR 99)小売販売向けに所有される「動物飼料」に対して固定資産税の免税を認める法案
住民投票提案 6 (HJR 4)証券取引または特定の証券を対象とする「取引税」の課税を禁止する法案
住民投票提案 7 (HJR 133)退役軍人の配偶者に対する固定資産税の一部または全額免除
住民投票提案 8 (HJR 2)相続税・贈与税の課税を禁止する法案
住民投票提案 9 (HJR 1)動産税の課税査定額を最大 125,000ドル免除する法案
住民投票提案 10 (SJR 84)火災で全焼した住宅に対して固定資産税を一時的に免税する法案
住民投票提案 11 (SJR 85)高齢者、障害者の住宅に対して学校区課税の免税枠を 10,000ドルから 60,000ドルへ引き上げる法案
住民投票提案 12 (SJR 27)州司法懲戒委員会の構成変更、暫定法廷の設置する法案
住民投票提案 13 (SJR 2)住宅の基礎控除額を 100,000ドルから 140,000ドルに引き上げる法案
住民投票提案 14 (SJR 3)認知症予防機関の創設と基金を確保する法案
住民投票提案 15 (SJR 34)「親は子どもの教育・監督において第一の意思決定者である」ことを州憲法に明記する法案
住民投票提案 16 (SJR 37)「米国市民でない住民は州選挙で投票できない」と明記する法案
住民投票提案 17 (HJR 34)国境に隣接する郡の市場価値に対して不動産税免除を州議会に権限を与える法案

税金に影響を及ぼす法案

提案 7 (HJR 133)

提案7は退役軍人が軍務関連で死亡した場合、その配偶者の固定資産の査定額を全額または一部免除する法案です。免除規定は転居先でも有効になりますが、該当の配偶者が再婚した場合、この免除資格を失うという条件が含まれています。

提案 8 (HJR 2)

テキサス州では元々相続税や贈与税は存在しませんが、今回の投票で将来的にそれらの税金が導入される事を防ぐ事を目的とした法案となります。

提案 9 (HJR 1)

提案9はテキサス州憲法を改正し、事業者が保有している棚卸を含む資産に対する動産税の控除額を現行の$2,500 から $125,000 に引き上げることで課税の軽減を行う法案となります。同法が可決された場合、棚卸資産を多く抱える事業主にとって朗報となる事でしょう。

提案 11 (SJR 85)

提案11は65歳以上または障がい者が所有する住宅の課税対象評価額から、学校区が課す固定資産税を軽減する事を目的に追加基礎控除額を現行の10,000ドルから60,000ドルへ引き上げる法案となります。同法案が可決された場合、遡って2025年度から適用されます。

提案 13 (SJR 2)

提案13は固定資産税の基礎控除額を現行の100,000ドルから140,000ドルへ引き上げる法案となり、可決された場合、提案11同様に2025年度に遡って適用されます。同時に基礎控除引上げによって税収が減少する地方自治体に対して州政府が減少分を補填する補助金制度も含まれています。