時給とチップ

 

米国トヨタ本社移転の影響のせいか、最近新しい日本食レストランが増えているように感じますが、利用者としては選択股が増えるのでとても嬉しい悲鳴ではないでしょうか。あまり知られていない事ですが、レストランを含む飲食業者には特殊な税法やルールが適用されるため、一般企業とは異なる対応や対策が必要となってきます。そこで今月は、飲食業者にまつわる時給とチップに関する興味深い事項について紹介したいと思います。

 
最低賃金

連邦政府で最低賃金は $7.25 と定められていますが、各州政府は独自の最低賃金を設定する事が認められているため、最低賃金の設定金額は州により異なっています。労働省によると現在14州が連邦政府で定められた金額を最低賃金として採用しており、ワシントンD. C. を含む29州がそれ以上、2州がそれ以下、残る5州が最低賃金を設定していません。(2015年2月24日現在)また最低賃金が最も高く設定されている州はワシントン州の $9.47 で、一番低い州はジョージア州とワイオミング州の $5.15 となっています。

テキサス州は連邦政府の最低賃金ルールを採用しているため $7.25 となっていますが、サービス業(飲食店など)に就業する労働者の最低賃金は $2.13 と設定されています。この最低賃金の差別化は連邦政府で定められており、“Tipped Employee” (1ヶ月に $30 以上のチップを得る労働者の事を指す)は、チップから大部分の収入が得られるであろうと言う理由から一般の労働者よりも低い最低賃金が設定されています。

 
チップ・クレジット

通常、時給を含む給料に対して俗に FICA と呼ばれる給与税が課税されます。給与税は雇用者と従業員がそれぞれ50%ずつ負担するように制定されていますが、チップに対しても給与税を支払う義務があるため、雇用者としては折半する金額に対し追加負担分が増える形となっています。本来であれば払う必要の無い給与税を軽減するために、雇用者側には追加負担分をチップ・クレジットとして納付した給与税に対し税金を相殺する事が認められています。

 
クレジット・カード使用手数料

ご存知の通り、クレジット決算を利用している事業主は、売上の数パーセントを使用手数料としてクレジット会社に請求される仕組みとなっています。クレジット決算は売上情報を正確に管理するのみならず入金が直ぐに処理されるので事業主からしてみれば大変便利なサービスですが、その反面、売上の一部を使用料として徴収される経済的負担も発生します。

テキサス州はFederal Fair Labor Standards Act (FLSA)を採用しているため、クレジット・カードの使用料金を全額またはその一部を従業員に負担させる事が認められています。ただし、使用料を負担させる場合には、事前に従業員の承諾を得る事が義務付けられています。

 
団体客に対する自動チップ

団体でレストランを利用された方なら経験された事があると思いますが、食事代に対し15-20%の自動チップ (Gratuity) が事前に加算されている場合が一般的となっていましが、2014年の1月からこの自動チップに関する取り扱いが変更され、今まではチップ扱いであった金額を通常の給与として認識する事が義務付けられました。

そのため同額をチップシェアやチッププールとして取り扱う事ができなくなり、また雇用者は同額に対して支払われた給与税をチップ・クレジットとして算入する節税の恩恵を受けられなくなりました。

 
オバマケアの影響

50人以上の従業員を雇用する事業主は、全ての従業員に対し医療保険を提供するか、または保険を提供しない事に対し罰則金を支払う事が義務付けられています。オバマケアによる従業員の定義は、通常の週40時間勤務ではなく「週30時間以上勤務をする者」と定められているため、各従業員の労働時間を短縮したりまたは解雇する事で会社の金銭的負担を回避する動きを始めた事業主が出てきているようです。

医療保険の提供を始めた事業主もいるようですが、追加経費分を自己努力だけでは補えないため、オバマケア(正式名称The Patient Protection and Affordable Care Act)の頭文字をとり “ACA Surcharge” という形で消費者に一部負担を強いている飲食業者も出てきているようです。

 

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