納税者番号取り扱いの変更

 

税法改正により2016年10月1日から納税者番号の取り扱いが変更されるようになりました。毎年所得税を申告している方々にも影響を及ぼす重要事項ですので、今月はその変更内容について話をしたいと思います。

 
納税者番号とは

納税者番号 (Individual Taxpayer Identification Number) は、米国で税務申告をするために各納税者に割り当てられる番号でIRSが税務申告の管理を目的として発行しています。そのため社会保障給付金の受給記録を管理するために発行される社会保障番号 (Social Security Number) とは違い、社会保障番号保持者に認められている社会保障手当て(老齢、遺族、障害、医療保険)や勤労所得控除 (Earned Income Credit) などの恩恵を受けることは出来ません。

通常納税者番号は、在留資格(ビザ)に関係なく米国で所得税を申告する必要があり、在留身分上、社会保障番号を申請できない方が取得する番号として位置づけられています。番号は 9の数字から始まる 9桁の番号で構成され、所得税と一緒に申請する必要があるため申告の必要がない場合の申請は認められていません。

 
変更内容

今までは一度発行された納税者番号は失効する事はありませんでしたが、2015年の税法改正により過去3年間に一度も税務申告で利用されなかった納税者番号は今年の 12月31日に失効する事になります。今後、税務申告を行う予定の無い方はそのまま失効しても問題ありませんが、来年以降(2016年度申告分)も税務申告を行う予定または必要のある方は、納税者番号を更新する必要があります。

例えば 2012年度の所得税申告のために取得した納税者番号は、2013年度、2014年度、そして2015年度の申告を行っていない場合には、今年の12月31日に納税者番号が失効する事になります。また申告実績の有無に関係なく2013年以前に発行された納税者番号で真ん中の2桁の数字が78または79の番号も順次失効する事になります。(例 9XX-78-XXXX)

 
[ 更新が必要な納税者 ]

  1. 過去3年間 (2013, 2014, 2015) において一度も申告を行っておらず、且つ来年度申告が必要な方、または
  2. 2013年以前に納税者番号を取得している方で、真ん中の2桁の番号が 78または 79の方

 
更新時期また更新方法について

更新対象者に対しIRSから更新案内の通知が送られるようですが転居などで通知が届かない場合もありますので、念のために各自自分の番号を調べて更新の対象となっているか確認する事をお勧めします。

通常、納税者番号申請書は個人所得税申告書に添付する形で申請する必要がありますが、更新手続きの場合、単独で提出する事が特別に認められています。また、2016年度の個人所得税の申告書と一緒に提出する事も可能ですが、処理に時間がかかるため事前に更新手続きを行う事が望ましいでしょう。更新手続きは10月1日から開始され、次の書類を提出する必要があります。

 
[ 提出書類 ]

  1. IRSから受け取った更新案内通知のコピー
  2. 納税者番号申請書 (Form W-7)
  3. 身分証明書の原本またはその他の証明書(旅券所持証明書など)

 
扶養家族の申請について

2016年10月1日以降に扶養家族の納税者番号を申請または更新する際に、米国への入国記録が無いパスポート原本を身分証明書として提出する場合、追加で次の書類を提出する必要があります。

 
[ 追加提出書類 ]

  • 診療記録(6歳以下の扶養家族)
  • 通学記録(18歳以下の扶養家族)
  • 銀行口座明細書、家賃または光熱費の請求書(18歳以上の扶養家族)

 

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