電子決済システム

3月 1, 2022

先月下旬ロシアがウクライナに侵攻しました。国際社会はロシアの身勝手な行動に対して「NO」と突き付け、あらゆる方向から圧力を働きかけています。各国がロシアに対して領空や港湾の使用を禁止し、共同経済活動中止の発表や資本を引き揚げる行動を開始しています。さらに国際社会が一丸となってロシアをSWIFTと呼ばれる決済ネットワークから締め出す動きを加速させ、ロシアに経済的な制裁を加え始めました。今月は、SWIFTを含めた電子決済について紹介をしたいと思います。

送金システム

経済活動がグローバル化する事により人や物、またお金の動きも自ずとグローバル化されます。現金取引と比べ電子決済は、より安全、確実、かつ迅速に対処する事が可能なため、商取引の主流となったのはごく自然の成り行きでしょう。

資金を送金をする際に Wire または Electronic Fund Transfer と表現されますが、実は単に電子決済の総称として利用される言葉で、実際の送金手段はACHやSWIFTなどの決済ネットワークが利用されています。電子決済を可能にするためには、国や金融機関を含め各関係者がルールを作り送金方法をスタンダード化する必要があります。アメリカで生活されている方であればSWIFTコードやACHという言葉よく耳にしたことがあると思います。

ACH

ご存じのとおりアメリカでは給与やボーナスなどの支払いは、現金ではなく銀行振込による支給が一般的となっています。また、光熱費、家賃やクレジットカードの支払いなども銀行口座から引き落とし決済が主流となっています。主に米国内での電子決済にはACH (Automated Clearing House) と呼ばれる決済ネットワークが利用され、同ネットワークの加盟者間で送金指示の処理を行っています。

ACHネットワークはNACHA (National Automated Clearing House Association) によって管理され、その起源は1968年に遡ります。1968年当時、取引件数の増加により小切手での処理方法に限界を感じ始めたカリフォルニア州の銀行員が、来る未来の決済処理能力を危惧した事がきっかけで設けられた特別委員会が発端となりました。その後、連邦準備銀行が委員会に参加し、1974年に現在のACHを管理するNACHAが設立されました。NACHAによると2021年の決済処理総数は291億回にも上り(引き落し件数 164億回、振込件数 127億回)、ACHを介した送金総額は 73挑ドルに及んだそうです。

SWIFT

SWIFT(国際銀行間通信協会)は、Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunicationの省略名称で、ベルギーを本拠とする主に国際金融の送金指示を管理する機関として知られています。

送金指示を行う際に最も重要な銀行支店情報はBank Identifier Code (BIC) と呼ばれ、ネットワーク内の各金融機関にそれぞれ個別の番号が割り当てられています。一般的によく耳にするSWIFTコードとはこのBICを指し、8桁の英数字によって構成されています。最初の4桁は銀行コード、続く2桁は国コードで、最後の2桁が所在地コードとなります。例えば、アメリカのBank of AmericaのSWIFTコードは、銀行コード「BOFA」、国コード「US」、所在地コード「3N」のコンビネーション BOFAUS3N となります。(ちなみに米国所在CitiのSWIFTコードはCITIUS33)またオプションとして3桁の支店コードが追加する事も可能ですので、SWIFTコードが11桁の場合、支店コードも含めた番号と理解ください。SWIFT発表によると2021年の平均取扱件数は一日当たり約 4,200万回数にも上るそうです。

その他(IBAN

SWIFTの他に国際間送金サービスとして知られているのが International Bank Account Number (IBAN) で、主にヨーロッパ諸国で利用が進んでいる送金管理システムとなります。現時点でアメリカはIBANのネットワークに加入していませんので、国際送金を行い際には前述のSWIFTコードが使用されているようです。

諸刃の剣

冒頭の話に戻りますが、ロシアをSWIFTネットワークから排除する措置は、ロシアの金融機関はもとより、ロシアを起点とするあらゆる決済の禁止措置となるため、ロシア経済は多大な経済的被害を被るのは必至でしょう。ただし、お互いに頼りあう現代のグローバル経済においてロシアのSWIFT 排除措置は、お互いに痛みを伴う諸刃の剣と言われています。SWIFT排除措置によってロシアとの商取引がより困難になりますので、結果的にロシアの輸入に頼っている側も損失を被る事になります。身近な例として今巷で騒がれているのが、ロシア産のエネルギーや食料品が輸入できないため、原油や食料品など(ロシア産のカニやイクラなど)が供給不足により高騰する事が懸念されています。

戦争はあらゆる方面で多くの方に負の影響を及ぼします。私は戦争を体験した世代ではありませんが、戦争は何も生まないと考えています。ウクライナの停戦が一刻も早く実現する事を心より切に願います。