よくある間違い

4月 1, 2022

既に今年度の個人所得税申告を提出されて一息ついている読者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。昨年は大寒波の影響で申告期日が二ヶ月自動延長され、一昨年はコロナ禍の影響で三ヶ月自動延長されましたが、今年度は自動延長が行われないため申告期日は例年どおり4月18日となります。(通常、個人所得税の申告期日は4月15日だが、今年の4月15日がワシントンD.C.の祭日 Emancipation Day (奴隷解放記念日)にあたるため、申告期日が18日まで繰り越された。)

既に申告を終えている方は、納税者としての義務を果たした自分を褒め、また来年に向けて頑張ってください。今から準備に取り掛かる方は、直前まで待たずに早めに取り掛かる事をお勧めいたします。今月は、今から申告をされる方々を対象に申告時に起こる「よくある間違い」について解説したいと思います。

早期申告

申告を含め何事も早めに対処する事は良い事です。IRSも今年度の申告処理を1月24日から受付を開始したため、早期に申告を行われた方は2月中に還付金を受け取られた事と思われます。ただし、一点注意して頂きたい事が申告に必要な各種書類の発行期日との兼ね合いです。法律上、給与やその他所得明細書を記載した税務書類(W-2、1099など)の発行期限は1月31日と定められているため、状況によって、これら申告に必要な書類が1月31日まで発行されない可能性があります。またパートナシップやS法人などに投資をされている方が受け取る Schedule K-1 の発行期日は3月15日となっているため、他の書類が既に揃っていても状況によって3月15日まで申告を行えない可能性があります。通常、殆どの雇用主は準備が整いしだい1月中旬までにW-2を発行しますが、前述のとおり法律上、発行期日は1月31日までと定められているため、個人的な都合で雇用主に対してW-2の発行を急かす事はできません。

収入申告漏れ

申告に必要な各種書類は、法律で規定された期日までに発行する事が義務付けられていますが、状況によって発行されない書類もあるので注意が必要です。主に金融機関が発行する利息報告書 (Form 1099-INT) が、代表例として挙げられます。法律上、利息の情報を報告する1099-INTの発行期日は1月31日までと定まられていますが、発行義務の条件が「$10以上」となっているため、受け取った利息が $10 以下の場合、利息を支払った金融機関から1099-INTが発行されない可能性があります。金額に関係なく1099-INTを発行する金融機関もありますが、発行されないケースもありますので1099-INTを受け取らなかった方は、自ら当該年度中に受け取った利息の金額を確認する必要があります。

名前と社会保障番号の不一致

IRSは納税者の本人確認として必ず名前と社会保障番号 (Social Security Number) または納税者番号 (Individual Taxpayer Identification Number) の照合を行います。照合は、社会保障庁 (Social Security Administration) に登録された情報(名前と番号)に対して行われ、情報が一致しない場合、申告書は却下されます。

特によくあるケースで結婚後の苗字変更が挙げられます。日本国籍の方は、未だに夫婦別姓が認められていないため、婚姻後に何れかの配偶者が苗字を変更する事が義務付けられています。苗字を変更された場合、パスポートなど国が発行する書類も変更され、一連の流れで米国社会保障庁に登録されている名前(苗字)なども変更が行われます。本来であれば変更後の苗字で新たに社会保障番号カードが発行されますが、再発行にかなりの時間を要し個人所得税の申告に間に合わないケースがあります。その為、誤って申告を旧姓で行う方がいるようですが、データとしての情報は既に更新されているため申告が却下されたと時々耳にする事があります。前述のとおり、本人確認としてIRSは社会保障庁の情報と照合を行いますので、必ず社会保障庁に登録した情報(名前および番号)で申告を行うようご注意ください。

申告身分の誤り

既婚者は、夫婦合算または夫婦個別の何れかの身分で申告を行う事が認められています。また既婚の判断は12月31日時点での既婚状況で行われますので、364日間婚姻関係にあっても12月31日時点で婚姻関係を解消されている方は、夫婦として申告を行う事はできません。また逆に年度中殆ど独身であっても12月末時点で婚姻関係にある方は夫婦として申告を行う事が可能です。

扶養家族の二重クレーム

既婚者が夫婦合算申告を行う場合、特に問題は起こりえませんが、夫婦個別申告を選択される場合、夫婦何れが扶養家族として申告を行うのか意思確認を行う事が重要でしょう。扶養家族を一緒に申告する事で児童税額控除やその他追加控除など節税効果を得られるため、納税者としては是非活用したい税法として捉えらえます。その為、夫婦各々が同じ扶養家族を二重でクレームする事が多々あるようです。扶養家族を二重でクレームする事で申告が却下される事はありませんが、扶養家族に付随する節税効果は、先に申告した納税者に付与されるため、後から申告した方に対して扶養家族が認められず申告内容に調整が行われます。このケース(早い者勝ち)を考慮しても、申告を早めに行う方がメリットがありますので、準備が整いしだい申告を行う方が賢明でしょう。ただし、後日夫婦間で問題が起きないよう、お互いの意思確認を事前に行う事が最良と言えるでしょう。

署名漏れ

近年、電子申告が義務化されたため殆どの申告が E-File で行われるようになりましたが、申告の書類上(納税者番号を同時に申請する場合)、紙で申告を行わざる終えないケースもございます。従来どおりの紙で申告を行う場合、W-2などの必要書類を申告書に添付し、申告書に直筆で署名を行う必要がございます。夫婦合算申告の場合、各配偶者がそれぞれ署名を行う必要がありますが、時々片方の署名が漏れているケースがあるようですので紙で申告を行い場合は、二重で確認を行う事をお勧めします。

所得税の申告を終えた方、今から申告を行う方多々いらっしゃると思いますが、私自身も含めこれからも納税者としての義務を果たし社会貢献の一役に立てれば幸いです。