売上税の租税基準変更(その②)

12月 3, 2019

 

先月号では売上税の租税基準変更の概要を紹介しましたので、今月はその詳細について触れたいと思います。

 
徴収義務の強化

テキサス州下院法案第1525の可決により売上税の徴収義務が強化され、売上税を規定した税法(テキサス州税法 151.0242)の改正が行われました。主な改正内容はmarketplace provider と marketplace sellerに対する徴収義務が新に追加され点で、改正により今まで売上税の課税権を確立できなかった業者に対して税金の徴収と納付義務を強制できるようになりました。

Marketplace providerとして認定された業者は、marketplace sellerに代わって売上税の徴収および納付義務を負い、marketplace sellerに対して租税証明書の連絡が義務付けられました。Marketplace sellerは、売上税の徴収と納付義務を負わない代わりとしてMarketplace providerから租税証明書を入手する事が義務付けられました。租税証明書を入手するまでは税金の徴収および納付義務を負うため、適切に対応をする必要があります。またRemote Sellerを含む全ての業者は、販売記録などの証拠資料を最低4年間保管する事が義務付けられています。(テキサス州行政法 3.281

 
免責条項 (Safe Harbor Rule)

徴収義務の強化と共に免責条項 (Safe Harbor Rule) と単一税率 (Single Local Tax Rate) などの緩和措置も同時に導入されました。免責条項は、売上額をベースとした上限を設ける事で小規模事業主に対する負担を軽減する目的があります。テキサス州内の年間売上額が $500,000 以下のRemote Sellerは、売上税の徴収と納付義務が免除されますが、上限を超えるRemote Sellerはテキサス州で事業登録を行い、売上税の徴収と納付が義務付けられます。

免責条項の判断は毎年の売上状況で判断されるため、仮に前年度に免責条項を満たせなかった場合でも当該年度の年間売上額が $500,000 を下回った時点で様式 01-798 を提出する事で租税義務を終了する事が可能です。ただし、後年上限を超した時点で再度租税義務が発生しますので、登録抹消のタイミングには十分注意を払う必要があります。

 
単一税率 (Single Local Tax Rate)

一般的にテキサス州の売上税の税率は 8.25% と認知されていますが、実はこの税率は州税と地方税(市、郡、特別地区)を合計した税率となります。その為、同じテキサス州内であっても場所によって税率が異なる地域が存在します。売上税に適用される税率は、物品の発送先の住所により決定されるため販売側は住所別の税率確認や徴収などの管理面で多大な負担を強いられます。販売側の管理負担を軽減する目的で発送先住所に関係無く一律で課税できる単一税率も緩和措置として導入されました。(テキサス州税法 151.0595

単一税率 (Single Local Tax Rate) 採用を希望する業者は Account Maintenance Division宛に電子メール(sales.applications@cpa.texas.gov)または手紙で通知をする事で選択手続きが完了します。2019年度の税率は1.75%と規定されRemote Sellerのみが採用を認められています。単一税率を選択したRemote Sellerは合計8%(州税6.25%、地方税1.75%)の税率で売上税を徴収する必要があります。また税率は毎年見直されるようですので、年度末に翌年の税率確認も必要となります。

単一税率を選択した場合、年度途中での変更が認められないため単一税率を1年間使用する必要があります。単一税率から実質税率に変更をしたい場合、10月1日までにその旨を州政府に通達する必要があり、税率の変更は翌年の1月1日からの適用となります。

 
【 要約 】
Remote Seller:
(a) 年間売上額が $500,000 以下の場合

  • テキサス州で事業登録を行う必要は無い
  • 売上税の徴収と納付義務は無い

(b) 年間売上額が $500,000 以上の場合

  • テキサス州で事業登録を行う必要がある
  • 売上税の徴収と納付義務がある
  • 単一税率を採用できる

 
Marketplace Provider:

  • Marketplace Sellerに代わって売上税の徴収および納付義務を負う
  • Marketplace Sellerに対して租税証明書を連絡する必要がある
  • 単一税率を採用できない

 
Marketplace Seller:

  • 売上税の徴収および納付義務は無い
  • Marketplace Providerから租税証明書を入手する必要がある
  • 租税証明書を入手するまで売上税の徴収および納付をする必要がある
  • 単一税率を採用できない

 
今後の動向

先月号でもお伝えしたとおりWayfair訴訟を参考とした税制改革が各州で活発に行われており、今後ますます売上税に対する徴収義務が強化される事が予想されます。テキサス州政府はフランチャイズ税に対しても同様の変更を審議しており、早ければ2020年1月1日以降の課税年度に対して導入を検討しているようです。