児童税額控除の一時変更

8月 8, 2021

 

新型コロナウイルス救済措置の一環として、先月から児童税額控除の給付が開始されました。今回の救済措置の内容をあまり理解されていない方が多いようですので、今月は、児童税額控除の一時変更内容について紹介をしたいと思います。

 
児童税額控除

児童税額控除 (Child Tax Credit) は、子供を持つ中間層への金銭的援助を目的に納税者救済法 (Taxpayer Relief Act of 1997) の一部として1997年に導入された制度です。税額控除はその名称からも分かる通り税金に対する控除で、所得税が発生した時に初めて活用できる制度です。導入当初の上限額は児童一人当たりに対して $500 で、所得税に対して相殺する事が出来ますが、未使用分の還付請求する事は認められていませんでした。同制度はその後数回改定され、現在は児童一人当たりに対する控除額は $2,000 となり、その内 $1,400 を上限として還付請求する事が出来ます。

児童税額控除は自動的に全ての納税者に対して付与されるのではなく、対象となるためには次の条件を全て満たす必要があります。

 
【 対象条件 】

  • 年齢条件:対象となる児童は、12月31日時点で17歳未満である事
  • 市民条件:対象となる児童は、米国市民または社会保障番号 (Social Security Number) を持つ米国居住者である事
  • 扶養条件:対象となる児童は、納税者の扶養家族として申告される事
  • 家族条件:対象となる児童は、家族の一員(息子、娘、継息子、継娘、養子、兄弟、姉妹、義兄弟、義姉妹、孫、甥または姪)である事
  • 居住条件:対象となる児童は、半年以上同居している事(例外免除あり)
  • 支援条件:対象となる児童は、生活費の半分以上を自己負担していない事

 
年度中に誕生または死亡した児童は、例外として⑤の居住条件を満たす取扱いになっています。学業、入院、休暇、出張、兵役または拘留などの諸事情により一時的に同居していない場合でも例外が認められています。また特例として誘拐によって行方不明になっている児童、または両親の離婚により別居生活を余儀なくされた場合も、居住条件の例外適用を受ける事が出来ます。

高額所得者に対して税額控除の制限が設けられているため、調整後総所得 Adjusted Gross Income(以下AGI)の金額が上限(夫婦合算は $400,000、その他は $200,000)を超える納税者は、段階的に控除額が減額され、AGIが $440,000(その他の申告身分は $240,000)が超えると利用できない仕組みになっています。

 
児童税額控除の一時変更

今年の3月に法制化されたAmerican Rescue Plan Act of 2021により児童税額控除の一時変更が行われました。変更の対象は2021年度のみに限定され、次が主な変更内容となります。
 

項目 従来の取扱い 一時変更措置
  控除額 児童一人当たり上限 $2,000 6歳未満児童に対して上限 $3,600 6歳以上18歳未満児童に対して上限 $3,000
  対象年齢 12月31日時点で17歳未満 12月31日時点で18歳未満
  還付可能額 上限 $1,400 まで 全額還付対象
  前払支給 無し 2021年7月から支給開始(毎月15日支給)
  所得上限額 (増額分のみ) 該当なし AGIが上限(夫婦合算は $150,000、世帯主は $112,500、その他は $75,000)を超える納税者は、段階的に増加分の控除額が減額される

 
通常、税額控除の申請は所得税の申告と一緒に行いますが、今回は特別に前払支給され、該当する納税者は自動的に税額控除を還付金の前払いとして受給する事が出来ます。前払支給額の計算は2019年または2020年何れかの申告情報を基準に算出されます。IRSが対象となる納税者の銀行口座情報を把握している場合、前払額は直接銀行口座に振り込まれます。IRSが銀行口座情報を把握していない場合、通常どおりチェックが郵送されますが、IRS指定のサイトに銀行口座情報を入力する事で、受給手段を銀行振込に変更する事が可能です。

 
注意事項

今回の前払支給は、あくまでも将来受給予定の児童税額控除に対する前払い措置となり、支給額の計算は、2019年または2020年の申告情報が基準となります。その為、状況によっては受給額が実際の還付請求額を超える可能性もあり、2021年度個人所得税の申告時に受給超過分を逆に追徴されるケースも予想されます。このような想定外の状況を回避するために前払い還付金の受給停止を行う事も可能で、受給停止を希望される方は、前述のIRS指定のサイトで受給停止の申請を行う事が出来ます。

またIRSを装って振込先銀行口座情報などを収集する詐欺も発生しているようですので、個人情報を開示または提出する際には最新の注意を払ってください。