税金に影響を及ぼす主な出来事

 

毎年恒例の税務申告を終えてほっと一息ついている頃かと思われますが、いろは読者の皆様は如何お過ごしでしょうか。少し気が早いと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、来年の税金申告対策として今月は税金に影響を及ぼす主な出来事について話をしたいと思います。

 
①    結婚

結婚をすると控除が追加されたり低い税率が適用されるため、殆どのケースで独身に比べ税金が低くなる仕組みになっています。税金が低くなる主な理由として人的控除(2014年度一人当たり$3,950)や標準控除(2014年度夫婦合算申告$12,400)の倍増、申告身分別の累進課税率の適用などが挙げられます。また控除対象の個人年金積立 (Traditional IRA) の積立金(2014年度一人当たり$5,500)も倍になるだけでなく、所得の無い配偶者の分まで積立をする事が認められているため一層の節税効果を得る事ができます。

 
②    家の購入

家を購入された場合、毎月のローンの返済はもちろんの事、固定資産税、住宅保険など今まで無かった出費に加え修繕費などの諸費用も発生しますが、その一部は控除の対象となり節税効果を得られるケースもあります。また前述の所得控除に加え、省エネ家電製品を購入したり家屋を改善した場合、条件を満たした費用に対して税額控除が認められています。

 
[ 控除できる費用 ]

  • 住宅ローンの金利利子
  • 住宅ローンのポイント(前払い金利利子)
  • 固定資産税

 

[ 控除できない費用 ]

  • 住宅ローンの元金返済
  • 住宅保険料
  • 盗難防止セキュリティー費
  • 住宅組合費・管理費
  • 修繕費

 

③    引越

次の条件を満たす場合、旅費や宿泊費など引越に直接関連する費用は控除する事が認められています。

 
[ 引越費用の控除条件 ]

  1. 新しい仕事に関連した引越である事
  2. 新しい職場が引越前の住宅から50マイル以上離れている事
  3. 就職後、最低39週間フルタイムとして就業する事

 
④    出産

新しい家族を迎えると新生児の人的控除も同時に得る事ができるため、税務上でも嬉しい恩恵を受けることができます。人的控除の加算基準は、12月31日を持って判断されますので、12月31日の午後11時59分59秒生まれであれば控除を取る事が可能となります。また所得条件を満たせば児童税額控除(2014年度一人当たり $1,000)を得たり、夫婦共働きの場合、ベビーシッターなどの世話費用控除も取る事が認められています。

 
⑤    進学

学位所得を目的とした高等教育費は授業料に関して控除が認められており、学生ローン支払利子も控除する事が可能です。また州政府管理の529プランなどを利用すれば税引き前で学費積立ができるので、アメリカで高等教育を受ける予定の方にはお勧めいたします。

 
⑥    失業

失業時に政府から受取る失業手当給付金は失業中の生活を補填する為の救済金ですが、課税対象所得として取り扱われますので給付金に対して所得税が発生する事を理解しておく必要があります。また一般的に失業手当給付金は源泉徴収されず全額支給される場合が多いため、給付金の一部を税金支払のために積み立てされる事をお勧めいたします。

 
⑦    離婚

離婚手当を支払う側は、申告の際に同額を費用控除する事が認められていますが、控除を受けるためには額面が離婚判決に明記され、手当てが現金で支払われる必要があります。逆に離婚手当を受取る側は、同額を収入として認識する必要があるため所得税を申告する際には所得の一部として申告する必要があります。養育費は課税対象外となっているため、支払う側は費用控除が出来ず、受取る側も収入として認識する必要はありません。離婚手当を確定させる為に支払われた弁護士費用は控除できますが、それ以外で支払われた弁護士代は控除の対象外となります。

 
⑧    定年

定年退職後に受取る社会保障年金、企業年金や個人積立年金も全額またはその一部が課税対象となる場合があるので、定年前に一度どのような年金プランに加入しているか確認を取ることをお勧めいたします。規定年齢後にRoth IRA から引き出される年金は全額免税の恩恵を受けますので、Traditional IRA に比べより一層節税効果を得られます。

 

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