2023年度税制の主な改正事項

新年明けましておめでとうございます。毎年新年と共に訪れるのが所得税の申告ですが、読者の皆様は所得税申告の準備をいかがお進めでしょうか。物価指数やインフレーションの変動に伴い毎年調整が行われる税制ですが、今月は恒例となりました2023年度申告に関する主な税制調整事項を紹介したいと思います。

人的控除 (Personal Exemption)

一時的に撤廃された人的控除は、引き続き2023年も利用する事が出来ません。人的控除の撤廃期限は2025年の課税年度となっているため、現行の税法に変更が無い限り2026年から復活する予定となっています。

標準控除 (Standard Deduction)

標準控除の金額はインフレ調整に合わせて毎年増額されていますが、増額はほぼ数百ドル程度(伸び率約 1% から3%前後)に抑えられていました。2023年度の標準控除は、昨今の物価高も考慮され独身者は $12,950 から $13,850($900の増額、伸び率約 6.95%)、夫婦合算は $25,900 から $27,700($1,800の増額、伸び率約 6.95%)、世帯主は $19,400から $20,800($1,400の増額、伸び率約 7.22%)へとそれぞれ大幅に増額されました。

自動車マイレージ控除 (Standard Mileage Rate)

2023年度の自動車のマイレージ控除額が1マイルに付き事業用途で62.5セントから65.5セントへ増額されましたが、通院・医療用途と慈善事業用途は変更なく、それぞれ据え置きの22セント、14セントとなります。

児童税額控除 (Child Tax Credit)

児童税額控除額に変更は無く、金額は据え置きの$2,000 となります。児童税額控除額を受けるためには諸条件を満たすと共に対象となる扶養家族が、社会保障番号 (Social Security Number) を持っている必要があります。社会保障番号を持たない扶養家族に対しては、納税者番号 (Individual Taxpayer Identification Number) を持ち且つ諸条件を満たす場合に限り一人に付き $500 の税額控除が認められています。

代替ミニマム税基礎控除 (AMT Exemption)

あまり知られていませんが税金の計算方法には二通りあり、納税者は通常の計算方法で算出された税額または代替ミニマム計算方法で算出された税額何れか多い方の金額を支払う仕組みになっています。。代替ミニマム税は高所得者を対象とした税制で、所得に対して一定額の税負担を促す仕組みになっています。通常の税金算出に考慮される標準控除と同様に、代替ミニマム税も課税所得額から定額を差し引く基礎控除が設定されています。

2023年度の代替ミニマム税基礎控除額は、独身者は $75,900 から $81,300($5,400の増額、伸び率約 7.11%)、夫婦合算は $118,100 から$126,500($8,400の増額、伸び率約 7.11%)、そして夫婦個別申告は $59,050 から$63,250($4,200の増額、伸び率約 7.11%)へとそれそれぞれ増額されます。前年度の伸び率が約 3% でしたので、今年度の増加は前年比で約倍以上になります。

401kの年金積立上限

会社が提供する 401k などの任意型年金積み立てプランは、税引き前所得から積立金を捻出する事が認められています。税金は定年を迎えて実際に年金を引き出す時に課税される仕組みになっていますので、税前積立金をフルに活用して資産を増やせるメリットがあります。

毎年 $1,000 づつ増加傾向にあった積立金の上限が、2023年に限り $20,500 から $2,000 増しの $22,500 になりました。税金繰り延べができる年金の投資資金が倍増される結果になりましたので、金銭的に余裕のある方はもちろんの事、多くの納税者が利用される事をお勧めします

所得税の申告期日

2023年度個人所得税の申告期日は例年通り4月15日となりますが、メイン州とマサチューセッツ州の納税者に限り申告期日が2日延長され4月17日となります。(15日、16日がそれぞれ州の祭日に当たるため)もし万が一申告期日までに提出が間に合わないようであれば、Form 4868 を提出し延長申告の手続きを行えば最長6ヶ月の延長が認められます。ただし延長が認められるのは申告書の提出に限られているため、追徴金が発生する場合には申告期日までに納付する必要がありますのでご注意ください。

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